先週はダウ平均がほぼ横ばいとなるも、S&P500とナスダック総合が反落
先週の米国市場ではダウ平均が0.01%安とほぼ変わらずとなりましたが、S&P500が0.7%安、ナスダック総合が1.6%安とともに反落しました。
前週10日発表の米10月消費者物価指数(CPI)に続いて、米10月生産者物価指数(PPI)も予想を下回る伸びとなったことで、インフレのピークアウト期待が続きましたが、米連邦準備理事会(FRB)高官からタカ派発言が相次いだことが重しとなりました。
最終盤を迎えた米企業の第3四半期決算は、S&P500の15銘柄が発表を終え、このうち10銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
注目された小売株の決算は、市場予想を上回る決算や見通し引き上げが好感されたロス・ストアーズが週間で11.9%高、ウォルマートが5.4%高となったほか、TJXも5.8%高となりました。
一方、予想以上の大幅減益決算や見通し引き下げが嫌気されたターゲットは6.0%安となり、小売株の決算は明暗が分かれました。
このほか、決算や見通しが好感されたシスコ・システムズが6.7%高、バス&ボディ・ワークスが6.2%高となった一方、弱い決算や見通し引き下げが嫌気されたアドバンス・オート・パーツが20.9%安と急落し、エヌビディア、アプライド・マテリアルズも5%超下落しました。
ウォルマートの3Q決算は予想を上回り、通期見通しも上方修正
総合小売り大手の米ウォルマート・ストアーズが15日寄り前に発表した2023年度第3四半期(8-10月)決算は、売上高が前年同期比8.7%増の1528億1300万ドルとなり市場予想の1477億4500万ドルを上回りました。
純利益が同0.3%増の40億6700万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.50ドルと市場予想の1.32ドルを大幅に上回りました。
2023年度通期については、売上高見通しを従来の前年比4.5%増から5.5%増に引き上げ、燃料を除く米国内の既存店売上高見通しを従来の3%増から5.5%増に引き上げました。
ウォルマートの株価は15日の取引で一時、前日比11.86ドル高(+8.6%)の150.25ドルまで上昇し、9.05ドル高(+6.5%)の147.44ドルで終了。週間では5.4%高と2週続伸し、年初来では3.8%高と昨年末水準を回復しました。
ターゲットは予想以上の大幅減益決算や見通し引き下げを嫌気
米総合ディスカウントストア・チェーン大手のターゲットが16日寄り前に発表した2022年度第3四半期(8-10月)決算は、売上高が前年同期比3.4%増の265億1800万ドルと市場予想の263億7900万ドルを上回りましたが、純利益が51.9%減の7億1200万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.54ドルと市場予想の2.13ドルを大幅に下回りました。
会社側は、第3四半期終盤から11月にかけて売上高と利益が軟調に推移したとし、今後についても軟調トレンドの継続が見込まれるとしました。
第4四半期の見通しについては、既存店売上高が一桁台前半の減少になるとし、2022年度下半期に約6%と見通した営業利益率は、第4四半期は約3%に低下するとの見通しを示しました。
ターゲットの株価は16日の取引で一時、前日比29.48ドル安(-16.5%)の149.50ドルまで下落し、23.51ドル安(-13.1%)の155.47ドルで終了。週間では6.0%安となり、年初来では29.6%安となりました。
ハイテク業界などのレイオフが高所得者層の消費に影響か
生活必需品の売上高比率が高いウォルマートの決算が予想以上の増収増益となり、見通しも上方修正された一方、アパレルや家庭用品などの消費者の裁量が大きいカテゴリーの売上高比率が高いターゲットの決算が予想以上に悪化したことは、主として高所得者層の影響と見られています。
米国では今年に入り、所得の高いハイテク業界で1000人以上のレイオフが実施されたと伝えられており、足もとでもメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)やツイッターで大規模なレイオフが発表されました。
足もとのインフレ高進は、消費者全体の財布のひもを固くしていますが、ハイテク業界のレイオフや今後のレイオフへの警戒感が選択的消費材関連業界の逆風となる構図は今後も続くとみられています。
S&P500の消費材セクターの年初来のパフォーマンスを先週末時点で比較すると、ウォルマートなどの生活必需品セクターが3.2%安と、S&P500(-16.8%)に比較して小幅な下落にとどまっていますが、テスラ、アマゾン・ドット・コム、ターゲットなどの一般消費財セクターは32.0%安とS&P500を大きくアンダーパフォームしています。