6月IPO断トツの上昇率!
2022年6月は以下の12社が上場し、初値が公開価格を上回ったのは7社、公開価格を下回ったのは5社となりました。
話題性の高さから注目されたエニーカラーの初値は4810円と公開価格1530円を大きく上回りました。これは6月IPOでは断トツ1位の上昇率です。
エニーカラーの事業内容は?
エニーカラーはVtuber事務所大手であり、Vtuberグループ「にじさんじ」の運営などを行っています。
「にじさんじ」には2022年4月28日現在、約150名のVtuberが所属。ライブストリーミングによる双方向性のコミュニケーションのほか、グッズ・デジタル商品の販売やイベント開催などを手掛けており、英語圏や中国を中心に海外でもビジネスを展開しています。
上場後の株価の動き
上場後もエニーカラーの上昇は続き、6月16日に上場来高値9200円をつけました。ただ、短期間で公開価格の6倍まで上昇したことから、さすがに高値警戒感が出てきていました。
そこに「にじさんじ時価総額フジテレビ超え……26歳代表資産は1000億円超、30人以上の従業員も億万長者へ」というITmediaビジネスオンラインの記事が出たことが下落に転じるきっかけになったようです。
「時価総額がフジテレビ超えとなる株価はさすがに高すぎる」と、多くの投資家がこの記事により冷静さを取り戻したと考えられます。なお、株価は7月に入り6000円前後で推移しています。
業績は?
今期(23.4期通期)の連結営業利益予想は、55.1~65.1億円(レンジ形式:前期比31.5~55.3%増)としています。前期(22.4期通期)の連結営業利益は41.9億円(前の期比2.9倍)でしたので、大幅な増益を見込んでいます。
9月に予定されている23.4期1Qの決算で良好な進ちょくを示すことができれば、株価の水準訂正が行われる可能性は十分にあります。上場により知名度も上昇し、新たなファンを獲得したと考えられますので、期待したいところです。
話題が豊富!
Vtuber事務所大手ということで、他の会社に比べて話題は多いです。7月8日には、KADOKAWA(9468)およびバルコロニーと、3社共同事業で手がけるメディアミックス作品として「Lie:verse Liars(リーバース・ライアーズ)」の制作を決定したと発表しました。作品のキャストには「声優」に加え、「にじさんじ」所属のライバーを「俳優」として起用するということです。
7月11日には、新規デビューユニット「VOLTACTION(ヴォルタクション)」の駅広告の掲出を実施すると発表し、13日には「VOLTACTION」のメンバーとして4名のライバーが同日にデビューすることを発表しています。
また、今後拡大するであろう仮想空間「メタバース」関連としても注目しています。Vtuberはもともとアバターを使用していますので、メタバースの世界に溶け込みやすいことから、親和性が高いといえます。メタバース向けのタレント事務所という側面での成長も期待できそうです。
最後に
一般的にIPOを行った会社は上場直後こそ話題になりますが、その後は徐々に関心が薄れていくものです。しかし、エニーカラーはVtuber事務所として引き続き注目されると考えます。目先の利益を狙うというよりも、長期的な視点で投資を行うのにぴったりな会社と考えますので、今後もぜひ注目してください。