新NISAの2年目 ブームから定着へ~日証協調査にみる利用者の実像~

2024年に新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、2年目となった2025年。実際にNISAを利用した人たちは、どのように制度を活用しているのでしょうか。


日本証券業協会が、2025年に新NISAで金融商品を購入した7,926人を対象に、インターネット調査を実施しました。データからは、「投資は一部の富裕層のもの」というイメージとは異なる姿が見えてきます。


新NISAを利用している人の年収は?


2026年1月に日本証券業協会が実施し、2月に公表された「新NISA開始後の利用動向に関する調査結果」によると、新NISAの利用者は高年収の人ばかりではないようです。


回答者のうち、個人年収が「300万円未満」という人が39.3%で、「300万円以上500万円未満」が26.5%。年収500万円未満の人が65.8%を占め、幅広い収入金額の人たちが新NISAを利用しています【グラフ1】。



1年前に日本証券業協会が公表した「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果」でも、年収300万円未満が39.7%で300万円以上500万円未満の人が27.2%。平均年収は454.6万円と、ほぼ横ばいとなっています。新NISAで投資のすそ野が広がり、定着しているといえそうです。


年間の平均購入金額は、つみたて投資枠が45.5万円、 成長投資枠が94.2万円


では次に、新NISAでの購入額を見ていきましょう。


2025年につみたて投資枠を使った6,355人の平均購入金額は、45.5万円でした。2024年の平均購入額47.3万円から減少しています。成長投資枠の利用者6,048人の2025年の平均購入額は、94.2万円で2024年の103.3万円からやはり減少しています。


購入金額のボリュームゾーンは、つみたて投資枠については「5万円未満」が最も多く18.3%、次いで「120万円」が16.0%、「20~40万円」が15.1%です【グラフ2】。



成長投資枠については、平均購入金額が94.2万円。ボリュームゾーンは「10万円未満」で20.8%ですが、【グラフ3】の通り、年間の購入金額にはばらつきがあります。大きく分けると、20万円未満の人が3分の1と、20万円から100万円未満が3分の1で、100万円から240万円の人で3分の1となっています。



つみたて投資枠、成長投資枠に共通して、少額で購入する層が増えています。積立投資枠の「5万円未満」は前年調査の15.5%から18.3%へとやや増えました。成長投資枠の「10万円未満」も、前年の16.4%から増加。ここからも、幅広い層に浸透していることがうかがえます。制度開始直後の盛り上がりを見せた2024年から、無理のない金額へと落ち着いたといえるでしょう。


新NISAの資金はどこから?


では、その投資資金はどこから出ているのでしょうか。次は、投資金額だけでなく、資金の出どころにも注目してみましょう。


どのような資金で新NISAを購入しているかを複数回答で尋ねると、回答者全体の45.9%が「預金」、44.2%が「給与(パート・アルバイト含む)」でした【グラフ4】。多くの人が預金や給与から少しずつ資金を回しています。



このように「預金」と「給与」はどちらも圧倒的に優位ですが、年代別ではライフステージの変化に応じて特徴が分かれています。


20代以下、30代では「給与」が「預金」より15ポイント以上高く、稼いだお金で資産形成をしている姿が浮かび上がります。一方、40代や50代になると、「預金」と「給与」の差が縮まります。40代では「預金」が45.1%で「給与」が57.0%、50代は「預金」が45.7%で「給与」が53.2%となっています。これまで主に預金で資産形成を行い、積み上げた残高からNISAにシフトしている様子がうかがえます。


60代では「預金」が51.1%で「給与」が30.7%と逆転します。リタイアして給与所得がなくなったり少なくなったりする世代では、「配当金・利息から得た資金」という回答が60代は20.1%、70代以上では24.9%と他の世代より比較的高くなっています。インカムゲインを使ってしまわずに再投資をし、将来に備えているのでしょう。「年金」からもNISAの投資に回している人が、60代では14.5%、70代以上では25.7%と、高齢社会が投資行動に映し出されています。


データを見ると、新NISAは資産家や高収入の人たちの制度ではなく、ごく一般的な家計の延長線上にある資産形成のしくみとして広がりつつあることがわかります。周りの人と比べたり同じにしたりする必要はありません。自分の家計や目的に合った方法で、ご自身の続けられる金額やペースで続けることが大切です。


【参考資料】 日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(概要)



ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

石原 敬子の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております