2月旅行収支はコロナ禍前の2019年2月を上回る
財務省が10日に発表した2月の国際収支統計(速報)では、旅行収支が2239億円の黒字となりました。
新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年2月を上回り、訪日外国人客の増加が日本経済の回復を後押ししています。
日本政府観光局によると、2023年2月の訪日外国人客は147万人程度となり、前年同月と比べ90倍程度増加しました。
政府は4月5日、中国からの入国者に対する新型コロナウイルスの水際対策を緩和したことで、訪日外国人客のさらなる増加が予想されます。
訪日外国人客向けの対応など利便性が高い
そうしたなか、翻訳ビジネスへの注目度が高まりそうです。
特に観光地など外国人向けの対応として、自動翻訳機の活用機会が増加するとみられます。
ソースネクスト(4344)が手掛けた「POCKETALK(ポケトーク)」には、通訳機能やテキスト翻訳機能があります。
通訳機能ではボタンを押して話しかけると、翻訳結果が音声でかえってきます。
世界73言語に対応しており、翻訳結果はテキストでも表示されるため、相手に見せて対応することも可能となります。
またテキスト翻訳機能では、カメラで文字を撮影すると自動で認識し、翻訳結果が画面上に表示されます。
55言語に対応しており、特にレストランでの注文や交通機関の利用時に便利となります。
医療現場でも有効活用が期待される
また訪日外国人の増加のみならず、定住する外国人の生活支援向けにも自動翻訳機の活用が期待されています。
厚生労働省の発表によると、国内の外国人労働者数は182.3万人(2022年10月31日時点)と過去最多となりました。
一方、定住する外国人の増加を見据え、日本語教育や生活支援体制の強化など社会に迎え入れる環境を整備することが課題とされています。
そこで富士通(6702)が開発した「FUJITSU多言語音声翻訳ソリューションTRISY(トライジー)」は、端末を操作せずにタブレット端末に接続された指向性マイクで音声認識した話し手の音声や位置情報をもとに適切な言語を認識し、音声翻訳する仕組みを実現しています。
医師や看護師などの医療従事者が様々な医療機器や書類を手に持ちながら、外国人患者へ症状などを説明することが可能となります。引き続き、医療現場での需要増が期待できそうです。
ビジネス用途での活用機会の増加が見込まれる
さらに海外企業による国内への進出を後押しするため、法務省は2023年度より人工知能(AI)による法令の自動英訳を始めました。
ビジネス関連の法律や政省令を中心に従来の4倍となる年間320本の翻訳を目指しています。
これまでは各法令を所管する省庁が民間業者に依頼し、翻訳に1年ほどかかるケースが多くありましたが、今後はAIの自動翻訳システムの利用により翻訳本数の増加を図ろうとしています。
ビジネス用の自動翻訳機では、メタリアル(6182)のAI自動翻訳「T-400」は、産業機械・電子部品・製薬分野などのガイドライン・公的文書を大量に学習させた翻訳エンジンとなります。100言語、法務・化学、ITなど2000以上の専門分野に対応し、プロ翻訳者に匹敵する正確さで翻訳を行うことができます。
その他には、翻訳センター(2483)も特許、医薬、工業など専門性の高い翻訳に強みを有しています。80言語に対応し、取引企業が3800社程度、年間取扱件数は47000件程度と実績を残しています。
今後、訪日外国人客数、外国人労働者数の増加基調が続き、自動翻訳機の活用機会の増加が見込まれ、翻訳ビジネスの重要性が一段と高まると考えています。