4月はダウ平均とS&P500が続伸 ナスダック総合はほぼ横ばい
4月の米国市場では、ダウ平均が2.5%高、S&P500が1.5%高と2カ月続伸し、ハイテク株主体のナスダック総合は0.04%高とほぼ横ばいとなりました。
年初来では、ダウ平均が2.9%高、S&P500が8.6%高、ナスダック総合が16.8%高となりました。
上旬は、3月に強まった金融システム不安が和らぐ中、3月雇用統計がおおむね強い結果となったことで景気悪化懸念が和らぎ景気敏感株を中心に上昇しました。
中旬は、連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、金融危機によるマイルド・リセッションへの懸念が示されたことや、米3月小売売上高が予想以上に減少したことで景気悪化懸念が意識される場面もありましたが、大手金融機関の決算がおおむね良好だったことが支えとなりました。
下旬はファースト・リパブリック・バンクの預金が40%減少したことで地銀株への警戒感が再燃したほか、貨物大手のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の決算が予想を下回ったことで景気減速懸念が強まったことも重しとなり下落する場面もありましたが、好決算を発表したメタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどが大幅高となったことで月末にかけて上昇しました。
第1四半期決算発表は78%が予想を上回る
中旬からスタートした第1四半期決算発表は、S&P500採用の251銘柄が発表を終え、このうち78%の195銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。
メニューを10%値上げしたものの、既存店売上高が予想以上に増加したチポトレ・メキシカン・グリルが月間で21%超上昇し、インテューイティブ・サージカル、イーライ・リリー、メタ・プラットフォームズ、D.R.ホートン、ラス・ベガス・サンズ、モンデリーズなども決算が予想を上回り10%超上昇しました。
大手金融機関もウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスが5-6%上昇し、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカも2%超の上昇となりました。
一方、決算が予想を上回ったものの、預金流出が嫌気されたファースト・リパブリック・バンクが約75%安と暴落したほか、大幅減益や利益率悪化が嫌気されたテスラが21.9%安と急落し、決算や見通しが嫌気されたバレロ・エナジー、ファースト・ソーラー、イルミナ、テキサス・インスツルメンツなども2桁安となりました。
セクター別ではS&P500の8セクターが上昇し、3セクターが下落
4月はS&P500の11セクターのうち、8セクターが上昇し、3セクターが下落しました。
騰落率上位は、コミュニケーションが3.6%高、生活必需品3.4%高、エネルギーが3.2%高、金融とヘルスケア3.0%高となったほか、公益も1.8%高となりS&P500(+1.5%)をアウトパフォームしました。
一方、騰落率下位は、資本財が1.2%安、一般消費財が1.0%安、素材が0.2%安、となり、ITが0.4%高、不動産が0.8%高と小幅な上昇にとどまりました。
上昇率トップのコミュニケーションではメタ・プラットフォームズが13.4%高と急伸。1-3月期の売上高と調整後の一株当たり利益が市場予想上回ったことや、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が経営の効率化が進展しているとし、今後も人工知能(AI)分野に注力するとしたことが好感されました。
ダウ平均採用銘柄は20銘柄が上昇、10銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、4月は月間で20銘柄が上昇し、10銘柄が下落しました。
決算が予想を上回ったメルク、マイクロソフト、JPモルガン・チェースが6%超上昇し、マクドナルド、トラベラーズ、ジョンソン&ジョンソン、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ゴールドマン・サックスも決算や見通しが好感され5%超上昇しました。
一方、業績悪化見通しが嫌気されたシスコ・システムズが9.6%安となったほか、決算が予想を上回ったインテルも月間では4.9%安となり、経済指標の悪化を受けて建設支出の減少懸念が強まったキャタピラーも4.4%安となりました。