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イベント満載の1週間 ドル円は上値重い展開
今週はイベント満載の1週間でしたが、ドル円は上値が重い展開となりました。週明け7月28日の海外市場では「参院選後の米系短期筋のポジション調整が終わり、大元の円ロングポジションの巻き戻しの動きが続いている」との声が聞かれ、買いが先行する展開。東京市場では連日、本邦実需勢の買いが観測されました。
30日には7月ADP全米雇用報告や4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が発表され、予想を上回る結果に。また、米連邦準備理事会(FRB)は29-30日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置くことを決めたと発表しました。声明では「純輸出の変動が引き続きデータに影響を及ぼしているものの、最近の指標は今年上期の経済活動の成長が緩やかになったことを示している」と指摘し、米経済に対する認識を下方修正しました。また、ボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事が0.25%の利下げを主張し、決定に反対票を投じたことが明らかに。FOMC声明を受けてドル円は売られる場面もありました。
ただ、ドル売りでの反応は一時的でした。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「経済は堅調な状況にある」「インフレ率は目標をやや上回っている」「インフレリスクへの対応として、現在のスタンスは適切だと認識」「9月FOMCについては何も決定していない」などと発言。市場では「タカ派的」と受け止められ、米長期金利の上昇とともにドル買いが広がりました。この日取引終了間際には一時149.54円まで値を上げています。
翌31日には日銀金融政策決定会合が開催されました。植田和男日銀総裁は記者会見で「見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」としながらも「インフレ率の上方修正だけで金融政策が左右されるものではない」「基調的な物価上昇率は2%に届いておらず、緩和的な金融政策を維持している」などと発言。「日銀は追加利上げを急いでいない」との見方が広がり、円売りが出やすい地合いとなりました。結局、FOMCと日銀でのドル高・円安の流れが週末まで続き、8月1日には一時150.92円と3月28日以来約4カ月ぶりの高値を更新しています。
*Trading Viewより
しかしながら、同日のNY市場で発表された月に一度のビッグイベントである「米雇用統計」で全てがひっくり返される展開に。米労働省が発表した7月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比7.3万人増と予想の10.4万人増を下回り、過去2カ月分が計25.8万人下方修正されました。米雇用市場に対する懸念が高まると、米長期金利の大幅低下とともにドル売りが加速。その後発表された7月米ISM製造業景況指数も予想を下回り、さらにドル売りが進む格好となりました。さらには、「クーグラーFRB理事が8月8日付で辞任する意向を示した」「トランプ米大統領が雇用統計を集計している米労働統計局(BLS)の局長を解任」と伝わり、米長期金利が一段と低下。ドル円は一時147.30円まで値を下げています。
投機筋の円買いポジション、大きく縮小
米商品先物取引委員会(CFTC)が8月1日(日本時間2日早朝)に発表した7月29日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は8万9243枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1万7402枚減少しました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。ただ、これ以降はその動きが一服しており、円買いポジションは縮小傾向が続いています。とはいえ、いまだ9万枚近くの円買いポジションがあり、「燃料は十分」と言えます。
市場では「例年、夏季休暇を控えて一方向に傾いたポジションは整理される傾向にある。さらに、現在の投機筋の円買いポジションは含み損に転落し始めた可能性がある。そのため、一段と円安が進み、ポジションの損失拡大懸念が強まるようなら、ポジション解消に伴う円売りがさらに強まる可能性もある」との声が聞かれています。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、転換線(148.39円)は下回って週末の取引を終えていますが、週末の終値(147.40円)で雲の上限(145.48円)、下限(144.27円)、基準線(146.80円)は上回っています。
*Trading Viewより
一方、重要なポイントである200日移動平均線が位置する149.57円超えは一時的なものとなりました。200日移動平均線は重要な中期線として、機関投資家など多くの市場参加者が注目するポイントになっています。テクニカル的なサポートやレジスタンスとしてだけではなく、ここを中心に投資家心理も大きく変わってくると言われています。この水準を再び超えて行けるかどうかが焦点となりそうです。
*IG証券より
現在のポジションはドル円ロング@144.235円。一時はポジションを切るかどうかの瀬戸際にきていましたが、現時点ではプラス。しばらくは上サイド突破を期待しながらポジションを維持していきたいところです。
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