アップルの1-3月期決算は予想を上回る ー iPhoneとサービス収入が好調

先週の米国株は高安まちまち ダウ平均、S&P500が反落した一方、ナスダック総合が小幅続伸


先週の米国市場ではダウ平均が423.78ドル安(-1.2%)、S&P500が0.8%安とともに反落した一方、ハイテク株主体のナスダック総合は0.1%高と小幅ながら2週続伸しました。


前週末にファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻したことで、このほかの地銀株にも経営不安が強まったことや、0.25%の利上げが決定された米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が年内の利下げ転換の可能性を否定したことなどが嫌気され、主要3指数がそろって週明けから4日続落となりました。


しかし、週末5日はJPモルガンの投資判断引き上げを受けて地銀株が急反発したことや、市場予想を上回る決算を発表したアップルが大幅高となったことでセンチメントが大きく改善しました。


注目された米4月雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が25.3万人増と市場予想の18.0万件を大幅に上回りましたが、2月と3月のNFPが下方修正されたことで過度な利上げ懸念は強まりませんでした。


ダウ平均は4日に前週末比970ドル安(-2.9%)まで下落しましたが、423ドル安(-1.2%)と下落幅を縮小して終了し、S&P500も2.6%安まで下落後、0.8%安で終了。

ナスダック総合は2.1%安まで下落後、0.1%高とわずかながらプラス圏で終了しました。


投資家の不安心理を示すVIX指数は前週末の15.78ポイントから一時21.33ポイントまで上昇しましたが、17.19ポイントで終了しました。



米企業の第1四半期(1-3月)決算は、先週はS&P500採用銘柄の162銘柄が発表を終え、このうち77%の124銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。


市場予想を上回る決算が好感され、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、オン・セミコンダクター、ゼネラック・ホールディングス、バルカン・マテリアルズなどが週間で2桁高となったほか、ホスト・ホテル・アンド・リゾーツ、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、ノルウェー・クルーズ・ライン、クラフト・ハインツなども5-9%高となりました。


時価総額最大のアップルも決算が予想を上回ったことで週末に大幅高となり、週間では2.3%高となりました。


一方、予想を下回る決算や大幅減配が嫌気されたパラマウント・グローバルが27.7%安と急落したほか、決算が予想を下回ったエスティ・ローダー、バイオ・ラッド・ラボラトリーズ、アリスタ・ネットワークス、エッツィ、メットライフ、セリディアンHCMなども2桁安となりました。


アップルの1-3月期決算は、売上高、利益が予想を上回る


アップルが4日引け後に発表した2023年度第2四半期(1-3月)決算は、売上高が前年同期比2.5%減の948億3600万ドルとなりましたが市場予想の929億6000万ドルを上回りました。

純利益も同3.4%減の241億6000万ドルとなりましたが、調整後の一株当たり利益は1.52ドルと市場予想の1.43ドルを上回りました。


決算発表を受けて株価は5日の取引で前日比7.78ドル高(+4.7%)の173.57ドルと5日ぶりに大幅反発して終了。週間では2.3%高と2週続伸し、年初来では33.6%高となりました。

今年1月3日につけた52週安値124.18ドルからの上昇率は49.4%となり、2022年1月4日につけた上場来高値182.90ドルまで5.1%に迫りました。

 


製品別ではiPhoneとサービス収入が好調


製品別の売上高は、iPhoneが前年同期比1.5%増の513億3400万ドルとなり、市場予想の488億4000万ドルを上回りました。


一方、Macが同31.3%減の71億6800万ドル、iPadが同12.8%減の66億7000万ドルとなり、ウェアラブル端末等も同0.6%減の87億5700万ドルと減収となりました。


アップ・ストアやアップル・ミュージックなどのサービス収入は同5.5%増の209億700万ドルと好調でした。

 


アナリストの目標株価引き上げが相次ぐ


決算発表を受けてアナリストの目標株価引き上げが相次ぎました。

モルガン・スタンレーが目標株価を180ドルから185ドルに引き上げたほか、オッペンハイマーが170ドルから195ドルに、レイモンド・ジェイムズが170ドルから180ドルに、バンク・オブ・アメリカが173ドルから176ドルに、ニーダムが170ドルから195ドルに、バーンスタインが125ドルから175ドルに、アトランティック・エクイティが180ドルから200ドルに引き上げました。


リフィニティブが集計するアナリスト42人の目標株価の平均値は177.94ドルとなり、1カ月前の170.29ドル、2カ月前の169.38ドル、3カ月前の169.17ドルから3カ月連続で上昇しました。


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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