ウォルト・ディズニーが大幅安 「ディズニー+」の会員数が予想に反して減少

先週の米国株は高安まちまち ダウ平均、S&P500が続落した一方、ナスダック総合が3週続伸


先週の米国市場は、注目された米4月消費者物価指数(CPI)や米4月生産者物価指数(PPI)の伸びが市場予想を下回ったことで利上げ長期化への懸念がやや和らいだものの、地銀を巡る経営不安が再燃したことや、米債務上限問題への懸念が重しとなりました。


ダウ平均とS&P500はそれぞれ1.1%安、0.3%安と、ともに2週続落した一方、アルファベットやアマゾン・ドット・コムが大幅高となりナスダック総合が0.4%高と3週続伸となりました。


S&P500の11セクターは、コミュニケーションが4.3%高と大幅高となったほか、一般消費財が0.6%高、生活必需品が変わらずとなりS&P500をアウトパフォームしました。

一方、エネルギーが2.2%安、素材が2.0%安となったほか、金融、ヘルスケア、資本財、不動産も1%超の下落となりました。



終盤戦を迎えた米企業の第1四半期(1-3月)決算は、先週はS&P500採用銘柄の33銘柄が発表を終え、このうち67%の22銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。


市場予想を上回る決算が好感され、ステリスが11.5%高となったほか、アカマイ・テクノロジーズ、マケッソン、ニューズ・コーポレーション、ダヴィータ、タペストリーなども5-8%高となりました。


一方、予想に反しての赤字決算や通期見通し引き下げが嫌気されたタイソン・フーズが19.5%安、弱い4-6月期見通しが嫌気されたペイパル・ホールディングスが17.7%安と急落したほか、利益が市場予想を下回ったインターナショナル・フレーバー&フレグランス、ディッシュ・ネットワーク、パーキンエルマーも2桁安となりました。


ウォルト・ディズニーは利益が予想と一致したものの、動画ストリーミング「ディズニー+」の会員数の減少などが嫌気され8.5%安となりました。


このほか、スカイワークス・ソリューションズ、リンカーン・ナショナル、エア・プロダクツ&ケミカルズ、デボン・エナジー、ジェン・デジタルなども決算や見通しが嫌気され5-8%超の下落となりました。


ウォルト・ディズニーの1-3月期決算は、「ディズニー+」の会員数が予想外に減少


ウォルト・ディズニーが10日引け後に発表した2023年度第2四半期(1-3月)決算は、売上高が前年同期比7.6%増の218億1500万ドルとなり市場予想の217億8400万ドルを上回りました。


純利益が同14.1%減の17億200万ドルとなりましたが、調整後の一株当たり利益は0.93ドルとなり市場予想と一致しました。


部門別では「ディズニー・パーク、エクスペリエンス&プロダクツ」の売上高が前年同期比16.9%増の77億7600万ドル、利益が同23.4%増の21億6600万ドルと好調でした。

一方、「ディズニー・メディア・エンターテインメント」は売上高が同3.1%増の140億3900万ドルとなりましたが、利益は同42.4%減の11億1900万ドルとなりました。



動画ストリーミング「ディズニー+」の有料会員数は、2023年度第1四半期(2022年10-12月)の1億61800万人から1億5780万人へと約2%減少し、市場予想の1億6350万人を大きく下回りました。



決算発表を受けて株価は11日の取引で前日比8.83ドル安(-8.7%)となり、週間では8.5%安と大幅に2週続落。年初来上昇率は5.9%に縮小しました。


決算発表を受けてアナリストの目標株価引き下げ相次ぐ


決算発表を受けてアナリストの目標株価引き下げが相次ぎました。


シティグループは目標株価を130ドルから125ドルに引き下げ、ゴールドマン・サックスは136ドルから130ドルに、ドイチェバンクも135ドルから131ドルに引き下げました。


リフィニティブが集計するアナリスト32人の目標株価の平均値は3カ月前の130.38ドル、2カ月前の126.03ドル、1カ月前の125.52ドルから足もとでは122.33ドルに低下しました。




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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