5月はダウ平均が反落した一方、ナスダックが大幅高
5月の米国市場では、ダウ平均が3.5%安と3カ月ぶりに反落した一方、S&P500が0.2%高と小幅に3カ月続伸し、ハイテク株主体のナスダック総合は4月のほぼ横ばいから5.8%高の大幅高となりました。
年初来では、ダウ平均が0.7%安とマイナス圏に沈んだ一方、S&P500が8.9%高となり、ナスダック総合は23.6%高となりました。
パックウエスト・バンコープの預金流失が続いたことで地銀を巡る経営不安が再燃したことや、米債務上限引き上げを巡る与野党協議に進展がみられなかったことなどが相場の重しとなりましたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が地銀などの信用不安を理由に追加利上げが必要ないかもしれないと発言し、利上げ打ち止め期待が高まったことに加え、好決算や強い見通しが好感された半導体のエヌビディアが急伸し、ハイテク株の上昇をけん引しました。
米国の債務上限問題を巡っては、バイデン米大統領と共和党マッカーシー下院議長が度重なる協議を行ったものの、双方の隔たりは大きく、イエレン米財務長官長が早ければ6月1日にも米国債がデフォルトに陥る可能性を警告しました。
ただ、終盤にイエレン米財務長官がデフォルトの可能性があるXデーを6月5日に変更し、バイデン米大統領とマッカーシー下院議長が基本合意に至ったことで過度な警戒感が和らぎました。
第1四半期決算発表は76%が予想を上回る
4月中旬からスタートした第1四半期決算発表は、5月はS&P500採用の231銘柄が発表を終え、このうち76%の176銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。
市場予想を上回る決算や強い業績見通しが好感されたエヌビディアが月間で36.3%高となり、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も決算が好感され32.3%高と、半導体株が急騰しました。
このほか、クルーズのロイヤル・カリビアン・クルーズ、ノルウェー・クルーズ・ラインや、ソフトウェアのセールスフォースなども決算や見通しが好感され2桁高となりました。
時価総額最大のアップルも減収減益となりましたが、売上高、利益がともに予想を上回り、4.5%高となりました。
一方、予想を下回る決算や見通し引き下げが嫌気されたアドバンス・オート・パーツが41.9%安、予想を下回る決算や大幅減配が嫌気されたパラマウント・グローバルが34.8%高とともに暴落し、VFコープ、キャタレント、アルタ・ビューティー、エスティ・ローダーなども弱い決算などが嫌気され20%超の急落となりました。
セクター別ではS&P500の3セクターが上昇し、8セクターが下落
5月はS&P500の11セクターのうち、3セクターが上昇し、8セクターが下落しました。
騰落率上位は、ITが9.3%高、コミュニケーションが6.2%高、一般消費財が3.1%高とハイテク・グロース・セクターが上昇した一方、
景気敏感セクターのエネルギーが10.6%安、素材が7.1%安、ディフェンシブ・セクターの公益が6.4%安、生活必需品が6.2%安となりました。
年初来でも、ITが33.3%高、コミュニケーションが32.2%高、一般消費財が18.2%高と大幅に上昇した一方、エネルギーの12.9%安を筆頭に公益、ヘルスケア、素材など8セクターが年初来でマイナスとなりました。
ダウ平均採用銘柄は6銘柄が上昇、24銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、5月は月間で6銘柄が上昇し、24銘柄が下落しました。
予想を上回る増収増益決算や、強い見通し、自社株買いが好感されたセールスフォースが月間で12.6%高と急伸し、人工知能(AI)分野の成長期待が続いたマイクロソフトが6.9%高となり、決算が予想を上回ったアップルも4.5%高となりました。
一方、スポーツシューズ販売のフット・ロッカーの決算が悪化したことを理由にシティが「ネガティブ・カタリスト・ウオッチ」に指定したことが嫌気されたナイキが16.9%安と急落し、ウォルト・ディズニーもストリーミング・サービスの「ディズニー+」会員数の減少などが嫌気され14.2%安となりました。
このほか、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、スリーエム(3M)、シェブロンなども2桁安となり、ダウ平均の重しとなりました。