国内初の顔認証を活用したATMの実用化へ
セブン銀行(8410)は、2024年3月にも顔認証で預金を引き出せるATMの実用化を目指しています。
2019年から顔認証を備えた新型ATMをNEC(6701)と共同開発しており、実用化されれば国内初となります。
セブンイレブンの店舗内など全国2万台のATMからキャッシュカードなしで現金を引き出せるようになります。
これに伴い、キャッシュカードの紛失や不正利用されるリスクが減少するとみられます。
同行によると、預金の引き出し以外にも中古品の売買、チケット購入時の本人確認など、金融機関以外の事業者にも顔認証の開放を検討しているとのことです。
空港で顔認証ゲートを設置
実際、顔認証はオフィスへの入退室や買い物の決済、入出国の手続きなど、様々な分野で活用が進んでいます。
飛行機の搭乗手続きに関して、2017年頃から各空港で出入国手続きを自動で行う顔認証ゲートの設置が始めました。
さらに2021年から成田空港と羽田空港では、顔認証を活用した搭乗手続き「Face Express(フェイスエクスプレス)」の稼働を開始。「Face Express(フェイスエクスプレス)」には、NECの顔認証システムが搭載されています。
駅の顔認証改札機の実証実験を開始
鉄道分野では、駅の改札機を通過する実証実験が始まっています。
JR西日本(西日本旅客鉄道)(9021)では、2023年3月に開業した大阪駅の「うめきたエリア」で顔認証改札機の実証実験を行っています。
また2025年4月から開催される大阪・関西万博を前に、大阪メトロは2024年度末までに「ウォークスルー型顔認証改札機」を全駅に導入することを発表しました。
パナソニックホールディングス(6752)傘下のパナソニックコネクトが改札機のシステムのほか、前述の空港の顔認証ゲートを手掛けています。
駅の改札機に顔認証を採用する動きは、他の鉄道にも広がる可能性があるとみています。
無人店舗向けの需要の高まりに期待
着実に顔認証の利用分野が広がるなか、無人店舗向けの需要が高まるとみています。
最近、無人店舗での窃盗を報じるニュースが増えており、店主の苦悩する姿を見ると心が痛くなります。
こうした問題を根本的に解決するには、人間の良心に委ねるのは限界があり、対応策を講じる必要があると思います。
無人店舗システムに関して、HOUSEI(5035)では「WelcomID無人店舗」サービスを展開しています。
高精度の顔認証技術を有しており、顔認証自動ドア開錠システム、ウェブ受付システム・遠隔監視システム、無人決済システムなどをワンストップで提供しています。
それに伴い、無人受付で人件費を削減できるほか、24時間営業など営業時間の拡大が可能となります。
同サービスは小売店舗のみならず、コンビニエンスストア、カラオケ、無人ゴルフ、ホテルなど様々な業種に対応しており、利用の増加が期待されます。
その他には、ダイワ通信(7116)の「Face Free ~Motte ke!」は、顔認証で入店から決済までが完了するウォークスルー型の無人店舗システムとなります。
温度検知顔認証端末に顔をかざして入店し、好きな商品を手に取って店を出るだけで決済が完了します。
具体的には、AIカメラに画像認証機能と、荷重センサーを内蔵した棚によって誰がどの商品を手に取ったかを認識し、事前にアプリに登録をされたユーザーのクレジットカードで決済します。同社のAI カメラと顔認証の技術を最大限駆使したシステムとなります。
顔認証技術の活用は、入店者の個人情報の管理などプライバシー問題に対応する必要はありますが、犯罪行為の抑止や人件費の削減などのメリットは大きく、活用する余地が大きいと考えています。