エヌビディアが「1兆ドルクラブ」入り

先週は主要3指数がそろって上昇 ナスダック総合は大幅に8週続伸


先週の米国市場ではダウ平均が422.34ドル高(+1.2%)と3週続伸し、S&P500が2.6%高と5週続伸。ナスダック総合は3.2%高と大幅に8週続伸しました。


S&P500とナスダック総合の週間上昇率は3月以来の大きさとなり、ナスダック総合は2019年3月の10週続伸以来の長期連騰を記録しました。


注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り政策金利が据え置かれましたが、メンバーのFF金利見通し(ドットプロット)で年内あと2回(0.50%)の利上げの可能性が示されました。

しかし、市場では懐疑的な見方も強く、米10年債利回りはFOMC後に低下し、ハイテク株は引き続き堅調な推移となりました。


S&P500の11セクターは、エネルギー(-0.7%)を除く10セクターが週間で上昇と、ほぼ全面高となりました。

ITが4.4%高と大幅に上昇したほか、素材が3.3%高、一般消費財が3.2%高、資本財が2.9%高となりS&P500(+2.6%)をアウトパフォームしました。


年初来ではITが40.9%高、コミュニケーションが36.1%高、一般消費財が29.2%高となりS&P500の14.8%高を大きくアウトパフォームしました。

このほか、資本財、素材、不動産も1-6%高となりましたが、エネルギーの8.3%安を筆頭に4セクターが昨年末水準を下回っています。

 

エヌビディアの株価は年初から約3倍に上昇


年初来で40.9%高と業種別上昇率トップのITは、過去最高値まで1.5%に迫り、高値更新が視野に入りました。


ITは2019年に48.0%高、2020年に42.2%高、2021年33.4%高と3年連続で大幅高となった後、2022年に28.9%安と4年ぶりの大幅反落となりましたが、2023年は景気後退(リセッション)懸念が強まる中でもハイテク・ジャイアントの業績の安定が期待できるほか、マイクロソフトやアルファベットなどが相次いで人工知能(AI)分野への進出を発表したことで、AI関連株やその技術を支える半導体株が軒並み大幅高となりました。


半導体のエヌビディアは今年5月に、2021年11月以来、1年半ぶりに上場来高値を更新し、その後も高値追いが続いています。

株価は年初から2.9倍になり、年初来上昇率はS&P500採用のトップとなりました。


5月下旬に発表された2024年度第1四半期(2-4 月)決算は、売上高と調整後の一株当たり利益が市場予想を上回ったほか、データセンター向けの売上高が過去最高を記録し、ピークの半分以下に落ち込んだゲーミング向け売上高も3四半期連続で増加したことも好感されました。


先週は週後半にハイテク株に利益確定売りが強まりましたが、モルガン・スタンレーが「トップ・ピック」銘柄をアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)からエヌビディアに変更したことも支えとなりました。

 


エヌビディアが「1兆ドルクラブ」入り 時価総額5位にランクイン


エヌビディアが年初から大きく上昇したことで、時価総額レースに変動がありました。

先週末(6月16日)時点の時価総額上位銘柄を見ると、首位のアップルが2兆9086億ドル、2位のマイクロソフトが2兆5454億ドルと突出し、3位のアルファベットが1兆5716億ドル、4位のアマゾン・ドット・コムが1兆2876億ドルでそれに次いでいます。


エヌビディアの時価総額は年初に3536億ドルでしたが、先週13日に1兆ドルを上回り、5位にランクインしました。


6位のテスラは2021年11月に1兆2994億ドルまで時価総額が増加しましたが、先週末時点では8258億ドルとなっています。


 


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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