米国株6月月間回顧 6月は主要3指数がそろって大幅高 ナスダックは40年ぶりの上半期上昇率を記録

6月は主要3指数がそろって大幅高 ナスダック総合は40年ぶりの上半期上昇率を記録


6月の米国市場では、ダウ平均が4.6%高と大幅反発し、S&P500が6.5%高、ナスダック総合も6.6%高とともに大幅に4カ月続伸となりました。


上旬は、5月末に債務上限引き上げ法案が下院で可決し、米国のデフォルト懸念が後退したことや、金融引き締めへの警戒感が和らぐ中、テクニカルやセンチメントの改善を背景に堅調な推移となりました。S&P500は昨年10月安値からの上昇率が20%を超え「強気相場」入りとなりました。


注目された13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り政策金利が据え置かれましたが、メンバーのFF金利見通し(ドットプロット)で年内あと2回(0.50%)の利上げの可能性が示されました。

ただ、市場では懐疑的な見方も強く、米10年債利回りはFOMC後に低下し、ハイテク株は引き続き堅調に推移しました。


下旬はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受けて、利上げ継続への警戒感が強まったことや、経済指標の悪化を受けて景気後退(リセッション)懸念が強まったことで、ハイテク株や景気敏感株が下落する場面もありました。

しかし、その後発表された経済指標が軒並み予想を上回る強い結果となりリセッション懸念が和らいだことや、FRBのストレステストで大手金融機関23行全てが合格したこと、FRBがインフレ指標として注視する米5月個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが予想を下回り米国債利回りが低下したことなどが好感され再び騰勢が強まりました。


四半期では、ダウ平均が2.0%高、S&P500が2.4%高、ナスダック総合が2.2%高とそろって反発しました。年初来ではダウ平均が3.8%高と比較的小幅な上昇にとどまりましたが、S&P500が15.9%高と上半期としては2019年以来の大幅高となり、ナスダック総合は31.7%高と1983年以来の上半期上昇率を記録しました。



セクター別ではS&P500の全11セクターが上昇


6月はS&P500の11セクターのうち、3セクターが上昇し、8セクターが下落しました。


騰落率上位は、一般消費財が12.0%高、資本財が11.2%高、素材が10.8%高と二桁高となったほか、IT、金融、エネルギーも6%超上昇と、ハイテク・セクターや景気敏感セクターが軒並み大幅高となりました。

一方、公益や生活必需品などのディフェンシブ・セクターが比較的小幅な上昇にとどまりました。


コミュニケーションでは年初から大きく上昇したアルファベットが利益確定売りに押され月間で2.6%下落したことが業種指数の重しとなりました。


年初来では、ITが42.1%高、コミュニケーションが35.6%高、一般消費財が32.3%高と引き続きハイテク・セクターが大幅高となりました。

一方、エネルギーの7.3%安を筆頭に公益、ヘルスケア、金融の5セクターが年初来でマイナスとなりました。



ダウ平均採用銘柄は26銘柄が上昇、4銘柄が下落


ダウ平均採用銘柄は、6月は月間で26銘柄が上昇し、4銘柄が下落しました。


米景気後退(リセッション)懸念が和らいだことや、中国の景気刺激策を好感し、年初から軟調に推移したキャタピラーが月間で19.6%高と急伸し、年初来で2.7%高とプラス圏を回復したほか、アメリカン・エキスプレス、ホーム・デポ、アップル、ダウ・インクも景気回復期待を背景に9%超上昇し、ハネウェル、ビザ、3M、JPモルガン・チェース、ウォルマートも7%超上昇し、ダウ平均(+4.6%)を大きくアウトパフォームしました。


一方、2023年度第3四半期(3-5月)の利益が予想を下回ったほか、消費の低迷やコロナウイルス関連売上高の減少、マクロ経済環境の逆風などを理由に2023年度通期利益見通しを引き下げたウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが6.2%安となり、年初来で23.7%安となったほか、人工知能(AI)分野の成長期待を背景に年初から大きく上昇したセールスフォースが5.4%安と反落し、年初来上昇率を59.3%に縮小。ユナイテッドヘルスとゴールドマン・サックスもそれぞれ1.4%安、0.4%安となりました。




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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