2023年上半期はナスダック総合が40年ぶりの大幅高

2023年上半期はナスダック総合が40年ぶりの大幅高


2023年上半期の米国株市場では、ダウ平均が3.8%高に比較的小幅な上昇にとどまりましたが、S&P500が15.9%高と上半期としては2019年以来の大幅高となり、ナスダック総合は31.7%高と1983年以来の上半期上昇率を記録しました。


2022年は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために3月に利上げに舵を切り、米10年債利回りは2021年末の1.49%台から一時4.33%台まで大幅に上昇したことでハイテク株を中心に利益確定売りが強まりました。

ハイテク株主体のナスダック総合は2019年に35.2%高。2020年に43.6%高、2021年に21.4%高と3年連続で大幅高となりましたが、2022年上半期に29.5%安と急反落し、2022年下半期も5.1%安と続落し、年間では33.1%安となりました。


しかし、2023年に入るとFRBによる利上げの打ち止め期待などを背景に米10年債利回りの上昇が一服し、2022年に大きく下落したハイテク株を買い戻す動きが強まりました。

また、FRBをはじめ、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)などの世界の主要中銀が利上げを続けたことで世界的な景気後退懸念が強まりましたが、そうしたなかでも財務の盤石性や成長力を維持するアップルなどのハイテク・ジャイアントにはディフェンシブ面での評価も高まり、買いが集まりました。


それに加えて人工知能(AI)関連銘柄の大幅高もナスダック総合を押し上げました。

AIを含むデータセンター向け半導体の売り上げが好調なエヌビディアが年初からの6カ月で190.8%高と株価が約3倍になったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が74.7%高、ブロードコムが51.4%高となり、オン・セミコンダクター、ラム・リサーチ、アプライド・マテリアルズなども40%超上昇と、半導体株が軒並み大幅高となりました。

 


セクター別ではIT、コミュニケーション、一般消費財がS&P500を大幅アウトパフォーム


2023年上半期のセクター別騰落率を見ると、S&P500の6セクターが上昇し、1セクターが横ばいとなり、4セクターが下落しました。


騰落率上位は、ITが42.1%高、コミュニケーションが35.6%高、一般消費財が32.3%高と急伸し、S&P500の15.9%高を大きくアウトパフォームしました。

このほか、資本財が9.2%高、素材が6.6%高、不動産が1.8%高となりプラス圏となりました。


一方、騰落率下位は、エネルギーが7.3%安、公益が7.2%安、ヘルスケアが2.3%安。金融が1.5%高となり、生活必需品は横ばいとなりました。


 


エヌビディア、メタ、テスラが上半期上昇率トップ3


S&P500採用銘柄の中で時価総額が1000億ドルを上回る上位80銘柄について年初来上昇率を見ると、半導体のエヌビディアが190.8%高と上昇率トップとなり、メタ・プラットフォームズの141.4%高、テスラの122.8%高がそれに次いでいます。


メタ・プラットフォームズは仮想現実(VR)分野への投資による業績悪化が懸念され2022年に64.9%安となりましたが、今年は人員削減などのリストラ策やAI分野への注力計画が好感され2022年2月以来の水準を回復しました。


上昇率3位のテスラは、2022年第4四半期の決算が好感されたほか、ムーディーズが格付けをジャンクから投資適格に引き上げたこと、テスラが持つEV充電ステーションの利用でフォード、ゼネラル・モーターズ、リビアン・オートモーティブが相次いでテスラとの提携を発表したことも株価の支援となりました。


 


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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