2023年上半期IPO企業の給与をチェック(前編)

2023年上半期に上場した企業の平均給与はどのくらい?


早いものでもう7月も終わろうとしていますが、うだるような暑い日が続き、まさに夏本番といった様相を呈しています。2023年もはや半分が過ぎたということで、今回は2023年上半期に上場した主な企業の給与について、前後編に分けて見ていきたいと思います。


IPO企業の平均給与については、昨年12月(「12月IPO企業の給与をチェック」)にも一度取り上げたことがありますが、今回は2023年に入ってから7月上旬までに上場した企業のうち、主に43社について平均給与を調べて一覧にしてしてみました。


2023年上半期に上場した主な企業の平均年収一覧(単位 万円)


有価証券報告書よりDZHフィナンシャルリサーチ作成



まず、43社の平均を調べてみると約632万円となりました。国税庁の発表している平均給与は461万円(前年は433万円)となっていますので、これに比べるとかなり高い金額となっています。


IPOするぐらいの企業だから勢いがあるんだなあ、さすが給料も平均より高いなあ、と思うところではありますが、実は2022年12月IPO企業の平均約557万円と比べてもかなり高い水準です。足もとでは企業の賃上げが盛んに叫ばれ、積極的に給与を引き上げる動きが活発化してはいますが、それにしてもこの差は大きいですよね。


実は、今回一覧にした2023年上半期IPO企業のうち、平均給与が1000万円を超えている企業が1社、800万円を超えている企業が8社あり、平均を押し上げている面があります。2022年12月IPO企業では、23社のうち800万円を超えていた企業は2社のみでした。上場する企業の規模や給与はそれぞれ異なり、一定ではありませんので、その時に上場する企業によって差が出るのは当然とはいえ、かなり大きな違いとなりました。


注目IPO企業の平均年収は


次に、上半期上場した企業のなかでも特に注目された企業の平均給与をいくつかとあり上げたいと思います。


まずは3月上場のカバー。Vチューバー事務所「ホロライブプロダクション」を運営しており、グロース市場でも有数の時価総額を誇る企業です。同社の平均年収は約512万円。2023年上半期IPO企業の平均632万円と比べると、若干低い印象があります。これは同社社員の平均年齢が31.6歳と非常に若い社員が多いことが要因に挙げられるでしょう。


4月に上場したアイスペースも、同時期非常に株式市場を盛り上げた銘柄の一つです。平均年収は約866万円でランキングでは堂々の4位。宇宙ビジネスの一環として、月着陸船(ランダー)と月面探査車(ローバー)を開発しており、高い専門性を有するエンジニアなど、高度人材を多く必要とすることから、平均給与も高くなるのかもしれないですね。


6月に上場したWTOKYOも注目度の高い企業のうちの1社でした。抜群の知名度を誇るファッションイベント「TOKYOGIRLSCOLLECTION(TGC)」の企画・制作などを手がける企業です。社名を知らなくても東京ガールズコレクションはご存じの方も多いのではないでしょうか。平均年収は約600万円となっており、2023年上半期IPO企業の平均よりは若干低いですが、国税庁発表の平均よりは高いという水準となっています。


今回はここまでにして、後編では特に平均年収の高かった企業などを見ていきたいと思います。次週も読んでいただければ幸いです。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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