米第2四半期決算は総じて好調 バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスが大幅高 テスラは大幅安

先週の米国株は主要3指数が高安まちまち 2Q決算は総じて好調


先週の米国市場では主要3指数が高安まちまちとなりました。ダウ平均が718.66ドル高(+2.1%)、S&P500が0.7%高とともに2週続伸した一方、ナスダック総合は0.6%安と反落しました。

ダウ平均は7月10日から21日まで10日続伸し、2017年8月以来の10連騰を記録しました。


米国経済のソフトランディング期待を背景に景気敏感株が上昇したほか、予想を上回る決算が好感された金融株や、出遅れ感の強いディフェンシブ株が上昇した一方、年初から大きく上昇したハイテク株に利益確定売りが強まりました。


S&P500の11セクターはエネルギーとヘルスケアが3.5%高、金融が3.0%高、公益が2.4%高となったほか、生活必需品と資本財もS&P500をアウトパフォームしました。

一方、コミュニケーションが3.0%安、一般消費財が2.3%安となり、不動産、ITも小幅な下落となりました。


7月中旬からスタートスタートした米企業の第2四半期(4-6月)決算発表は、先週はS&P500採用銘柄の59銘柄が発表し、このうち71%の42銘柄で調整後の一株当たり利益が市場予想を上回りました。


市場予想を上回る決算が強い見通しが好感され、ザイオンズ・バンコープ、チャールズ・シュワブ、キーコープ、シチズンズ・フィナンシャル、ノーザン・トラストが週間で2桁高となったほか、金融大手のバンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスも軒並み7-9%高となりました。このほか、ユナイテッド・エアラインズやジョンソン&ジョンソンも6-8%上昇しました。


一方、決算や見通しが嫌気されたエキファックス、ディスカバー・ファイナンシャル、オムニコム・グループ、インターパブリックが2桁の急落となったほか、利益率悪化が嫌気されたテスラが7.6%安、売上高が予想を下回ったネットフリックスが3.3%安となりました。


バンク・オブ・アメリカが大幅高 2Q決算は収入、利益が予想を上回る


米銀大手バンク・オブ・アメリカが18日寄り前に発表した2023年第2四半期(4-6月)決算は、純収入が前年同期比11%増の253億3200万ドルとなり市場予想の250億5200万ドルを上回りました。純利益が同12%増の71億200万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は0.88ドルと市場予想の0.84ドルを上回りました。

貸出金利が上昇したことで、純金利収入は14%増の142億ドルとなりました。トレーデング部門は債券トレーデング収入が18%増の28億ドルと市場予想の27億7000万ドルを上回り、株式トレーデング収入は2%減の16億ドルとなりましたが、市場予想の14億8000万ドルを上回りました。


株価は18日の取引で前日比1.30ドル高(+4.4%)の30.70ドルで終了し、週間では9.9%高と2週続伸。年初来下落率は3.4%に縮小しました。



米投資銀行最大手ゴールドマン・サックスが19日に発表した2023年第2四半期(4-6月)決算は、純収入が前年同期比8%減の108億9500万ドルとなりましたが市場予想の108億3700万ドルを上回りました。純利益は同62%減の10億7100万ドルとなり、調整後の一株当たり利益が3.08ドルと市場予想の3.18ドルを下回りました。商業用不動産向け融資の減損処理や、2021年に買収したフィンテック企業「グリーンスカイ」の売却による減損処理が利益を圧迫しました。


株価は19日の取引で一時1.8%安まで下落しましたが、1.0%高と3日続伸して終了。翌20日も3.0%高と続伸し、週間では7.9%高と大幅に2週続伸。年初来では2.5%高となり、2カ月半ぶりにプラス圏を回復しました。



利益率悪化や生産スローダウン見通しが嫌気されたテスラが大幅安


米電気自動車のテスラが19日引け後に発表した2023年第2四半期(4-6月)決算は、売上高が前年同期比47%増の249億2700万ドルと市場予想の244億7800万ドルを上回りました。純利益が同20%増の31億4800万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は0.91ドルと市場予想の0.82ドルを上回りました。

ただ、販売価格の引き下げやインセンティブの増加により営業利益率は9.6%となり前年同期から3%ポイント低下しました。

第3四半期については、設備改善のための操業停止により生産がスローダウンするとの見通しを示しました。


年初から2倍以上に値上がりしたテスラの株価は、20日の取引で前日比9.7%安と急落し、週間では7.6%安と4週ぶりに反落。年初来上昇率は111.1%に縮小しました。

 


今週はマイクロソフト、アルファベットなどのハイテク・ジャイアントの決算に注目が集まる


今週はS&P500の時価総額50%以上を占める約160銘柄が発表予定で、マイクロソフト、アルファベット、ゼネラル・エレクトリック、ゼネラル・モーターズ、ベライゾン、3M、ビザ(以上25日)、メタ・プラットフォームズ、ボーイング、コカ・コーラ(以上26日)、インテル、フォード、マクドナルド(以上27日)、プロクター&ギャンブル、エクソン・モービル(以上28日)などの決算が注目されます。




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

羽土 美幸の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております