米国株7月月間回顧 ダウ平均が2カ月続伸 S&P500とナスダック総合が5カ月続伸

7月はダウ平均が2カ月続伸 S&P500とナスダック総合が5カ月続伸


7月の米国市場では、ダウ平均が3.1%高と大幅続伸し、S&P500が3.0%高、ナスダック総合も3.8%高とともに大幅に5カ月続伸となりました。


上旬は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が利上げに積極的なタカ派的内容だったことや、米6月ADP民間部門雇用者数が予想の2倍以上に増加したこと、米6月雇用統計で賃金の伸びが予想を上回ったことなどで利上げの長期化見通しが強まったことが重しとなり軟調なスタートとなりました。


しかし、12日に発表された米6月消費者物価指数(CPI)や13日の米6月生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化したことで、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化への懸念が和らぎ、ハイテク株や景気敏感株に買い直されました。

また、中旬からスタートした第2四半期決算発表で大手金融機関を中心に市場予想を上回る決算発表が続いたことも好感されました。


下旬も堅調が続きました。市場予想を上回る決算発表が続く中、米第2四半期GDP速報値が予想を上回る伸びとなり米国経済のソフトランディング期待が高まったことや、FRBがインフレ指標として注目する米6月個人消費支出(PCE)価格指数が鈍化し、インフレ高進懸念が和らいだことも株価上昇を後押ししました。


26日に結果が公表されたFOMCでは市場予想通りに0.25%利上げが決定されましたが、その後についてはパウエルFRB議長がデータ次第だとし、利上げ終了期待も高まりました。


ダウ平均は7月10日から26日まで13営業日続伸し、1987年以来となる長期連騰を記録しました。

27日は14日ぶりに反落しましたが、27日、31日に続伸し、2022年2月9日以来の高値で終了しました。



第2四半期決算発表はおおむね良好


7月中旬からスタートした第2四半期決算発表は、S&P500採用銘柄の247銘柄が発表を終え、このうち81%の200銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。


業績不安が後退したザイオンズ・バンコープが月間で42.4%高と急騰したほか、キーコープ、コメリカ、シチズンズ・フィナンシャル、USバンコープも20~30%高と、地銀株が軒並み大幅高となりました。


ハイテク・ジャイアントはメタ・プラットフォームズとアルファベットが予想を上回る決算や強い見通しが好感されて10%超上昇。

大手金融株はバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスが2桁高となり、JPモルガン・チェースウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーも7~8%高となりました。


このほか、資本財のユニオン・パシフィック、ボーイング、3M、エネルギーのシュルンベルジェ、ハリバートン、ベーカー・ヒューズ、一般消費財のニューウェル・ブランズ、ドミノ・ピザなども2桁高となりました。


一方、予想を下回る決算や弱い見通しが嫌気されたフォード・モーター、ユニバーサル・ヘルス、レイセオン・テクノロジーズ、HCAヘルスケアなどが2桁安となりました。


セクター別ではS&P500の全11セクターが上昇


業種別では、7月はS&P500の11セクターが上昇と、2カ月連続で全セクターが上昇しました。


騰落率上位は、エネルギーが7.3%高、コミュニケーションが6.7%高、金融が4.7%高、素材が3.4%高となりS&P500(+3.1%)をアウトパフォームしました。


一方、ヘルスケア、不動産、生活必需品、公益のディフェンシブ・セクターは0.9%~2.3%の上昇にとどまりました。


上昇率トップのエネルギーはNY原油が月間で15%超上昇したことが追い風となる中、好決算発表銘柄の上昇が業種指数を押し上げました。

コミュニケーションでは決算が好感されたメタ・プラットフォームズが11.0%高、アルファベットが10.9%高となりましたが、有害な鉛被覆ケーブルを長年にわたり使用してきたことが問題視されたAT&Tとベライゾンが8~9%安となりました。



ダウ平均採用銘柄は26銘柄が上昇、4銘柄が下落


ダウ平均採用銘柄は、7月は月間で21銘柄が上昇し、1銘柄が変わらずとなり、8銘柄が下落しました。


米景気後退(リセッション)懸念や利上げの長期化懸念が和らぐ中、好決算発表銘柄が軒並み高となりました。

ボーイング、3M、ゴールドマン・サックスが月間で2桁高となり、キャタピラー、IBM、ホーム・デポ、インテルなども7%超上昇しダウ平均(+3.3%)を大きくアウトパフォームしました。


一方、鉛被覆ケーブルの使用が問題視されたベライゾンが8.4%安となったほか、メルクとハネウェルも6%超の大幅安となりました。




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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