先週の米国株は高安まちまち ナスダック、エヌビディアが短期トレンドライン割れ

先週の米国株は高安まちまち ダウ平均が反発するも、S&P500とナスダックが2週続落


先週の米国市場では先週はダウ平均が0.6%高と反発しましたが、S&P500が0.3%安、ナスダック総合は1.9%安とともに2週続落。ナスダック総合は今年初めての2週続落となりました。


格付け会社のムーディーズが一部地銀株の格付けを引き下げたことでセンチメントが悪化したことや、米10年債利回りの上昇が嫌気されハイテク株を中心に利益確定売りが強まりました。しかし、総じて良好な第2四半期決算が支えとなりました。


注目された物価指標は、7月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまった一方、7月生産者物価指数(PPI)が予想を上回る伸びとなりましたが、ミシガン大学が発表した8月の期待インフレ率が前月から低下したことで9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置き見通しが続きました。


セクター別では原油高を好感したエネルギーやヘルスケア、公益などのディフェンシブ・セクターが上昇した一方、IT、一般消費財などのハイテク・セクターや素材が下落しました。


8月月初来では、ダウ平均が0.8%安と3カ月ぶりの反落ペースとなり、S&P500は2.7%安、ナスダック総合は4.9%安とともに6カ月ぶりの反落ペースとなりました。

ただ、年初来ではダウ平均が6.4%高にとどまっているものの、S&P500が16.3%高となり、ナスダック総合は30.4%高と依然として大幅高となっています。


ナスダック総合が5カ月ぶりに50日移動平均線割れ


年初から大きく上昇したハイテク株に調整が続きました。ナスダック総合は1月から7月までの7カ月間で37.1%上昇し、2022年の下落率33.1%を上回る上昇となりましたが、先週は今年初めて2週続落し、上昇一服となりました。

9日から11日まで3日連続で短期トレンド・ラインの50日移動平均線を下回り、今年3月13日以来、103営業日ぶりの50日移動平均線割れとなりました。


ただ、移動平均線は下から長期の200日、中期の100日、短期の50日の順で並んでおり、その傾きも3本ともに右肩上がりとなっており、中長期の上昇トレンドが継続しているとみられています。

 

エヌビディアは7カ月ぶりに50日移動平均線割れ


ハイテク株の中でも半導体株は比較的大きな調整となりました。米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されている株価指数のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は今年1月から7月までの7カ月間で52.5%上昇しましたが、8月月初来で9.0%安と大きく反落しました。

SOX指数も先週9日から3日連続で50日移動平均線を割り込み、短期調整モードとなりましたが、11日終値では100日移動平均線を4.0%上回る水準にあり、中長期の上昇トレンドが維持されています。


 

半導体大手のエヌビディア(NVDA)は人工知能(AI)分野の成長期待を背景に1月から7月までの7カ月間で株価が3.2倍に急騰しましたが、先週は9日から11日まで3日連続で、今年1月以来の50日移動平均線割れとなりました。


しかし、週明け14日の取引ではモルガン・スタンレーが買い推奨を継続したことが好感され、株価は前日比7.1%高と5日ぶり大幅反発しました。終値は437.53ドルとなり、50日移動平均線の430.89ドルを再び上回りました。




 

国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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