エヌビディアが大幅高 水曜日の決算発表に期待高まる

先週の米国株はダウ平均、S&P500ナスダックがそろって2%超下落


先週の米国市場ではダウ平均が2.2%安、S&P500が2.1%安、ナスダック総合が2.6%安とそろって2%超下落。S&P500が2月以来の3週続落となり、ナスダック総合は昨年12月以来の3週続落となりました。

ダウ平均は木曜日に6月1日以来の50日移動平均線を割り込み、先々週のナスダック総合、先週火曜日のS&P500に続いての短期トレンド・ライン割れとなりました。


週明けはモルガン・スタンレーが買い推奨を継続したエヌビディアが大幅高となり、半導体株を中心とするハイテク株が上昇し、主要3指数がそろって上昇してスタートしましたが、弱い経済指標を受けて中国の景気悪化懸念が強まったことや、フィッチ・レーティングの格下げ警告を受けて米大手銀の下落したことに加え、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で利上げ長期化懸念が強まり、米10年債利回りが昨年10月21日以来の高水準となる4.32%台まで上昇したことも重しとなりました。


決算発表を控えたエヌビディアは大幅高となり、S&P500の上昇率トップ


主要3指数がそろって2%超下落する中、S&P500の業種別指数は一般消費財を筆頭に全11セクターが下落しました。

S&P500採用銘柄は460銘柄が下落し、上昇は42銘柄にとどまりました。


こうした中、モルガン・スタンレーが買い推奨リストの「トップ・ピック」に引き続き指定したことが好感されたエヌビディアが週間で6.0%高となり、S&P500採用銘柄の中で上昇率トップとなりました。


エヌビディアの株価は2021年11月22日に346.10ドルの高値を付けた後、2022年10月13日に108.14ドルまで反落しましたが、その後は人工知能(AI)向け半導体の成長期待を背景に上昇トレンドが続いています。

特に5月24日に発表された2024年度第1四半期(2-4月)決算で、データセンター向けの売上高が予想を上回る増加となったことや、第2四半期(5-7月)の見通しが予想を上回ったことが好感され、株価の上昇ペースが加速。上場来高値の更新が続きました。


 


第1四半期(2-4月)はデータセンターが好調、ゲーミングも回復


2024年度第1四半期(2-4月)決算は、売上高が前年同期比13減、純利益が同21減と、減収減益となりましたが、調整後の一株当たり利益は1.09ドルと市場予想の0.92ドルを上回りました。


部門別では、売上高全体の約60%を占めるデータセンターが前年同期比14%増、前四半期比18%増の42億8400ドルとなり、過去最高を記録しました。

ビットコイン・マイニング需要の縮小で減少したゲーミングは前年同期比で38%減となりましたが、前四半期比では22%増の22億4000万ドルとなり、2四半期連続で売上高が増加しました。


 

売上高が過去最高を記録したデータセンター部門では、グーグル・クラウドが、生成AIアプリケーションを高速化する新しいNVIDIA L4 TensorコアGPUを提供する最初のクラウド プロバイダーとなりました。

このほか、AIワークロード向けのデータセンターGPUのNVIDIA H100 Tensor Core GPUをベースとした新しい製品・サービスでアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、グーグル・クラウド、マイクロソフト・アジュール、オラクル・クラウド・インフラストラクチャーなどとの提携拡大、大企業向け生成AI構築でサービスナウとの提携、医療機器向けのAIプラットフォーム構築のためのメドトロニックとの提携など数々の進展がありました。


23日引け後発表の第2四半期決算に注目が集まる


第1四半期(2-4月)決算がビッグ・サプライズとなり株価は上場来高値を更新しましたが、今週水曜日引け後に発表される第2四半期(5-7月)決算にも注目が集まっています。


エヌビディアは第1四半期決算発表時のガイダンスで、第2四半期(5-7月)の売上高見通しを前年同期比64%増となる110億ドル±2%とし、市場予想の108.9億ドルを上回る見通しを発表しました。

調整後の粗利益率は69.5~70.5%と、2023年度第4四半期の66.1%、2024年第1四半期の66.8%を上回る強い見通しを示しました。


23日引け後に発表される5-7月期決算や8-10月期見通しが強いものとなれば、再びAi関連株の起爆剤となることが期待されます。

また、一部のアナリストは、エヌビディアはAI分野で非常に支配的であるため、業績と見通しが例え市場予想を下回った場合でも、市場は今後の潜在的な強さに期待する可能性が高いと予想しています。


週明け21日の取引ではHSBCが投資判断を「バイ」で据え置き、目標株価を600ドルから先週金曜日終値から80%以上高い780ドルに引き上げたことや、ベアード・エクイティ・リサーチが買い推奨リストのトップ・ピックに指定したことなどが好感され、株価は前日比36.68ドル高(+8.5%)の469.67ドルと大幅に上昇しました。

年初来では221.4%高(3.2倍)となり、7月14日の取引時間中の上場来高値480.34ドルまで10.67ドル(2.2%)に迫りました。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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