9月はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって大幅安
9月の米国市場では、ダウ平均が3.50%安、S&P500が4.87%安、ナスダック総合が5.81%安となり、そろって大幅に2カ月続落しました。
ウォールストリート・ジャーナルの記事を受けて米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルの終了期待が高まる中、8月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化したことを支えに中旬まで底堅く推移しました。
しかし、20日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ長期化見通しが示されたことでセンチメントが悪化。FOMCの結果を受けて米10年債利回りが上昇し、2007年以来の高水準となったことも株式相場の重しとなりました。
FOMCでは政策金利が市場予想通りに据え置かれましたが、メンバーの政策金利見通し(ドットプロット)では年内のあと1回の追加利上げの可能性が示唆され、2024年の利下げ見通しは6月FOMCと比較して小幅なものに修正されました。
パウエルFRB議長は会見で、インフレは根強く、抑制のためにまだやることがあるとしたほか、経済のソフトランディンは依然可能であるが、それはFRBの基本シナリオではないとしたことも利上げの長期化懸念を強めました。
終盤は全米自動車労組(UAW)が大規模なストライキを実施したことで、景気悪化懸念が強まったことや、政府予算の執行期限が10月1日に迫る中、議会で予算の成立が難航したことで政府機関の閉鎖リスクが意識されたことも相場の重しとなりました。
ダウ平均は26日に、長期トレンドラインとされる200日移動平均線を5月25日以来、4カ月ぶりに割り込みました。
S&P500は下値サポートとして意識された4300ポイントを6月9日以来、3か月半ぶりに割り込み、テクニカル面も悪化しました。
四半期ではダウ平均が2.62%安、S&P500が3.65%安と、ともに4四半期ぶりに下落し、ナスダック総合が4.12%安と3四半期ぶりに下落しました。
年初来ではダウ平均が1.09%高、S&P500が11.68%高、ナスダック総合が26.30%高となりました。
セクター別ではエネルギーを除く10セクターが下落
業種別では、9月はS&P500の11セクターの内、エネルギーを除く10セクターが下落と、ほぼ全面安となりました。
騰落率上位は、原油相場の上昇が追い風となったエネルギーが2.5%高と唯一上昇しました。ヘルスケア、金融、コミュニケーション、生活必需品は3-4%安となりましたが、S&P500(-4.9%)をアウトパフォームしました。
一方、騰落率下位は、不動産が7.8%安となり、下落率トップとなったほか、IT、資本財、一般消費財、公益、素材が5-6%安と大幅に下落しました。
年初来では、コミュニケーションが39.4%高、ITが33.8%高、一般消費財が25.7%高となったほか、エネルギー、資本財、素材が1-3%高となりました。
一方、公益が16.5%安となったほか、不動産が8.0%安、生活必需品が6.6%安、ヘルスケアが5.3%安、金融が3.1%安と5セクターがマイナス圏となりました。
ダウ平均採用銘柄は5銘柄が上昇、25銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、9月は月間で5銘柄が上昇し、25銘柄が下落しました。
米国の景気悪化懸念が強まる中、業績好調見通しを背景にユナイテッドヘルス・グループが5.8%高、アムジェンが4.8%高とヘルスケア株が採用銘柄中上昇率1,2位となったほか、原油高が好感されたシェブロンも4.7%高となりました。
このほか、トラベラーズとインテルも1%超の上昇となりました。
一方、737Max機の納入遅れなどによる業績悪化見通しが強まった航空機のボーイングが14.4%安、世界景気の悪化懸念を背景に総合化学の3Mが12.2%安、減収見通しが嫌気されたドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが12.1%安と急落したほか、アップル、ホーム・デポ、セールスフォースが8%超下落し、ベライゾン、コカ・コーラ、マクドナルドなどのディフェンシブ銘柄も6%超の下落となりました。