先週の米国株は主要3指数が高安まちまち 強い物価指標を受けて利上げ長期化懸念続く
先週の米国市場では主要3指数が高安まちまちとなりました。ダウ平均が0.79%高と4週ぶりに反発し、S&P500が0.45%高と2週続伸となった一方、ナスダック総合は0.18%安と3週ぶりに反落しました。
中東情勢の緊迫化や、それを受けた原油高が重しとなる中、発表された物価指標や、米国債利回りの動向、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、米連邦準備理事会(FRB)高官発言などをにらんだ神経質な展開が続きました。
注目された米物価指標は、9月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなり、9月消費者物価指数(CPI)も予想をやや上回る強い結果となったほか、パウエルFRB議長が注目する10月ミシガン大1年先期待インフレ率速報値も5カ月ぶりの高水準となったことが利上げ長期化懸念を強めました。
大手金融機関の第3四半期決算はそろって好調
先週後半からスタートした企業の第3四半期決算発表は、大手金融のJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴが金利高を追い風にそろって予想を上回る決算を発表しました。
JPモルガン・チェース(JPM)が10月13日に発表した2023年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比21.5%増の406億8600万ドルとなり市場予想の396億3000万ドルを上回りました。純利益が同16.8%増の116億5900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は4.50ドルと市場予想の3.96ドルを上回りました。
金利上昇を追い風に純金利収入が前年同期比30%増の229億ドルとなり、市場予想を約6億ドル上回りました。リテール・バンキング部門の利益は純金利収入の増加や破綻したファースト・リパブリックの買収により36%増の59億ドルとなりました。一方、トレーデング収入とアドバイザリー収入が減少したことでコーポレート・投資銀行部門の利益が12%減の31億ドルとなりました。
株価は13日の取引で一時、前日比7.30ドル高(+5.01%)の153.11ドルまで上昇し、2.19ドル高(+1.50%)の148.00ドルで終了。年初来では10.37%高となりました。
ウェルズ・ファーゴ(WFC)が10月13日に発表した2023年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比6.5%増の207億6700万ドルとなり市場予想の201億1100万ドルを上回りました。純利益が同2.9%増の51億1600万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.39ドルと市場予想の1.24ドルを上回りました。
貸出金利が上昇したことで純金利収入が前年同期比8%の131億500万ドルとなり、トレーデング収入が増加したことで非金利収入も同4%増の77億5200万ドルとなりました。
株価は13日の取引で一時、前日比1.89ドル高(+4.76%)の41.63ドルまで上昇し、1.22ドル高(+3.07%)の40.96ドルで終了。年初来では0.80%安となりました。
シティグループ(C)が10月13日に発表した2023年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比8.8%増の201億3900万ドルとなり市場予想の193億1400万ドルを上回りました。純利益が同1.1%増の29億6200万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.52ドルと市場予想の1.21ドルを上回りました。
株価は13日の取引で一時、前日比1.78ドル高(+4.29%)の43.31ドルまで上昇しましたが、0.18ドル安(-0.42%)の41.36ドルまで下落し、0.10ドル安(-0.24%)の41.43ドルで終了。年初来では8.40%安となりました。
今週はバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン、ネットフリックス、テスラなどの決算に注目
今週はS&P500の50銘柄余りが発表予定で、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーの大手金融機関のほか、ネットフリックス、テスラなどのハイテク・グロース株、ジョンソン&ジョンソン、プロクター&ギャンブル(P&G)、ユニオン・パシフィック、ユナイテッド・エアラインズ、アメリカン航空などの決算発表が注目されます。