先週は主要3指数がそろって下落 中東情勢悪化や米国債利回り上昇が重し
先週の米国市場では、ダウ平均が0.86%安と反落し、S&P500が2.39%安と3週ぶりの反落。ハイテク株主体のナスダック総合は3.16%安と大幅に2週続落となりました。
週明け16日は第3四半期決算発表への期待などを背景にセンチメントが改善し、主要3指数がそろって上昇してスタートしましたが、その後は中東情勢の緊迫化や、強い米9月小売売上高やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言を受けた米10年債利回りの上昇、高金利による景気悪化懸念が相場の重しとなりました。
米商務省が人工知能(AI)分野向け先端半導体の中国への輸出規制を一段と厳しくする方針を示したことでエヌビディアなどの半導体株が下落したことも、ナスダック総合を押し下げました。
年初来ではダウ平均が0.06%安と再びマイナス圏に沈み、S&P500が10.02%高、ナスダック総合が24.05%高と、ともに上昇幅を縮小しました。
ネットフリックスの第3四半期決算は予想を上回る増収増益
発表が本格化した第3四半期決算は、先週はS&P500の54銘柄が発表し、そのうち72%の39銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
予想を上回る決算が好感されたネットフリックスが週間で12.7%高と急伸したほか、AT&Tやアボット・ラボラトリーズも決算が好感され6-7%上昇しました。
一方、予想を下回る決算やサイバートラック黒字化見通しの後ずれが嫌気されたテスラが15.6%安と急落したほか、地銀のザイオンズ・バンコープ、リージョンズ・ファイナンシャルも決算が嫌気され2桁安となりました。
ネットフリックスが10月18日引け後に発表した2023年第3四半期(7-9月)決算は、売上高が前年同期比7.8%増の85億4200万ドルとなり市場予想の85億3600万ドルを上回りました。純利益が同20%増の16億7700万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は3.73ドルと市場予想の3.49ドルを上回りました。
第3四半期の営業利益率は会社予想の22.2%を上回る22.4%となり、前年同期の7.0%から大きく改善し、第2四半期の22.3%からも小幅に改善しました。2023年通期の営業利益率は20%を見込み、従来の会社見通し18-20%のレンジ上限になるとの見通しを示しました。
広告付きのプランが70%増と好調
投資家が注目する動画ストリーミングの有料会員数は第3四半期に876万人増となり、市場予想の549万人増を大幅に上回りました。米国で月額6.99ドルの広告付きプランが大きく伸び、全体の広告付きプラン会員数が約70%増加しました。
有料会員数が予想以上に増加したことに加え、財務内容の改善も評価されました。ネットフリックスの第3四半期のフリー・キャッシュフローは18億8800万ドルとなり、年初からの3四半期の累計では53億4400万ドルとなりました。2022年通期の16億ドルから大幅に増加したほか、年初時点での通期見通しの30億ドルも大幅に上回りました。
有料のパスワード・シェアリングの導入が引き続き貢献しているほか、広告なしのプランの料金を引き上げた一方、広告付きのプランの料金を据え置いたことで広告付きプランの会員数が大きく増加したことも財務内容の改善につながりました。
JPモルガンのアナリストは広告付きのプランの成長見通しを背景に、投資判断を「オーバーウエート」で据え置き、目標株価を455ドルから480ドルに引き上げました。
キーバンクのアナリストは、投資判断を「スタンダード・ウエート」から「オーバーウエート」に引き上げ、目標株価については、2024年の予想一株当たり利益に対して25倍の株価収益率が適当とし、510ドルの目標株価を設定しました。
先週に12.7%高と急伸したネットフリックスの株価は、週明け23日の取引でも5.88ドル高(+1.47%)の406.84ドルで終了し、年初来では38.0%高となりました。