10月はダウ平均、S&P500、ナスダックがそろって3カ月続落
10月の米国市場では、ダウ平均が1.36%安、S&P500が2.20%安、ナスダック総合が2.78%安とそろって3カ月続落となりました。
ダウ平均とS&P500は2020年3月以来の長期続落を記録し、ナスダック総合も昨年6月以来の3カ月続落となりました。
上旬は、米10年債利回りの低下が支援となりおおむね堅調に推移しましたが、中旬は米9月消費者物価指数(CPI)などの物価指標が予想を上回る強い結果となり米10年債利回りが上昇したことでハイテク株を中心に売りが強まりました。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが10月7日にイスラエルに大規模攻撃を仕掛け、中東の地政学リスクが意識されたことや、
米商務省が人工知能(AI)分野向け高機能半導体の中国への輸出規制を一段と厳しくする方針を示したことでエヌビディアなどの半導体株が大きく下落したこと、
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が追加利上げの可能性を示唆したことで米10年債利回りが一段と上昇したことも相場の重しとなりました。
中旬からスタートした第3四半期決算発表は多くの銘柄が予想を上回る決算を発表しましたが、株価は下落するものが多く、相場の支援となりませんでした。
米10年債利回りは9月末の4.57%台から10月23日に一時5.02%と2007年7月以来の高水準まで上昇したこともハイテク株のバリュエーションの割高感を強めたほか、高金利による企業の調達コスト上昇や家計の消費支出減少懸念を強めました。
ナスダック総合は10月25日に高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなり、S&P500も27日に「調整相場」入りとなりました。
ただ、最終盤はダウ平均とS&P500が大幅に2日続伸し、ナスダック総合も大幅に3日続伸して終了しました。
月初からの大幅安で売られ過ぎが意識される中、米10年債利回りの上昇が一服したことや、中東情勢の緊迫化の中でも原油相場が下落したことが安心感につながったほか、
11月月初の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表やアップルの決算発表を控えて買い戻しが優勢となったことで主要3指数がそろって下落幅を縮小しました。
決算発表はおおむね良好も株価は総じて下落
中旬からスタートした第3四半期決算発表は、S&P500採用の273銘柄が発表を終え、そのうち79%の217銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りましたが、株価の反応はまちまちでした。
序盤の大手金融機関の決算は、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカが予想を上回る決算を発表しましたが、株価は月間で2~4%安となりました。
ゴールドマン・サックスは大幅減益決算が嫌気され6.17%安となりました。
ハイテク・ジャイアントは予想を上回る決算を発表したマイクロソフトが月間で7.08%高、アマゾン・ドット・コムが4.70%高となりましたが、予想を下回る決算やサイバートラック黒字化見通しの後ずれが嫌気されたテスラが19.73%安と急落し、グーグル・クラウド部門の収入が期待に届かなかったアルファベットも5.18%安となりました。
メタ・プラットフォームズは売上高と利益が予想を上回りましたが、メタバース部門の損失が続いたことが嫌気され月間では0.35%高と小幅高にとどまりました。
セクター別では公益を除く10セクターが下落
業種別では、10月はS&P500の11セクターの内、公益を除く10セクターが下落と、ほぼ全面安となりました。
騰落率上位は、8~9月に大きく下落した公益が1.2%高と反発したほか、9月に6.9%下落したITが0.1%安と小幅安にとどまりました。
生活必需品とコミュニケーションもS&P500(-2.20%)をアウトパフォームしました。
一方、騰落率下位は、エネルギーが6.1%安と5カ月ぶりに大幅反落し、テスラの急落が重しとなった一般消費財が4~5%安と3カ月続落となりました。
ヘルスケア、素材、資本財も3%超下落し、ともに3カ月続落となりました。
ダウ平均採用銘柄は12銘柄が上昇、18銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、10月は月間で12銘柄が上昇し、18銘柄が下落しました。
好決算を発表したベライゾンが8.4%高、マイクロソフトが7.1%高となったほか、業績好調見通しが強まったナイキも7.5%高となりました。
一方、弱い4Q売上高見通しが嫌気されたキャタピラーが17.2%安、同業の巨額買収が嫌気されたシェブロンが13.6%安と急落し、
ダウ・インク、ゴールドマン・サックス、ホーム・デポ、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスも5~6%安となりました。