先週はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって3週続伸
先週の米国市場では、先週はダウ平均が1.94%高、S&P500が2.24%高、ナスダック総合が2.37%高とそろって3週続伸となりました。
注目された米10月消費者物価指数(CPI)や米10月生産者物価指数(PPI)が予想以上に鈍化したことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルの終了期待が一段と高まったことや、これを受けた米10年債利回りの低下が株式相場の支援となりました。
直近3週間の上昇率は、ダウ平均が7.80%、S&P500が9.63%、ナスダック総合が11.73%となり、S&P500が2022年11月以来、ナスダック総合が2020年4月以来の大幅高を記録しました。
S&P500は年初来高値更新が視野入り
S&P500は今年7月27日に付けた取引時間中の年初来高値4607.07ポイントから10月27日の取引時間中の安値4103.78ポイントまで10.92%下落しました。
終値ベースでも10%超下落し「調整相場」入りとなりましたが、米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルの終了期待や、長期金利の上昇一服を受けて急反発しています。
先週金曜日の終値は4514.03ポイントと、10月下旬に付けた直近安値の4103.78ポイントから10.00%の急反発となり、9月上旬の水準を回復しました。
取引時間中の年初来高値までは2.02%に迫り、年初来高値更新が視野入りしました。
S&P500は年内の史上最高値圏更新も? MMFに巨額資金が滞留
週明け20日の取引でもS&P500は0.74%高と5日続伸し、4547.38ポイントで終了。終値ベースで年初来高値までわずか41.58ポイント(0.74%)に迫りました。
年初来高値更新が視野入りしたことで、年内の史上最高値更新への期待も高まっています。
S&P500は2022年1月4日に4818.62ポイントの史上最高値を付け、終値では2022年1月3日に4796.56ポイントの最高値を付けました。20日終値では史上最高値まで5.63%、終値ベースでは5.19%に迫っています。
例年、11月-12月は株価が上昇する特異月で「年末ラリー」とか「クリスマス・ラリー」と言われますが、S&P500は11月20日現在、月初来で8.43%上昇しました。年末まで上昇基調が続けば、史上最高更新の可能性もありそうです。
金利動向や金融政策の見通し、企業業績などが今後のポイントとなりそうですが、金利動向については、米10年債利回りは10月下旬に一時、5.02%台と2007年7月以来の水準まで上昇しましたが、先週末は4.46%台で終了し、約1カ月で0.56%ポイント低下しました。今後再び大幅な上昇に転じない限り、株式相場の重しとはならないとみられています。
金融政策については、先週発表された米10月消費者物価指数(CPI)などの物価指標が鈍化したことで、利上げ打ち止め期待が高まっています。
CMEのフェド・ウォッチが示す12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性はわずか0.2%に低下しており、3月FOMCでは29%の確率で利下げが予想されています。年内の政策金利据え置き、来年3月の利下げ転換期待が継続すれば、株式相場の大きな追い風となることが期待されます。
企業業績を巡っては、21日火曜日引け後(日本時間;22日午前)に発表されるエヌビディアの8-10月期決算やガイダンスが焦点となりそうです。
エヌビディアの株価は年初から3.4倍に急騰し、予想PERは100倍を超えているため、決算やガイダンスが弱いものとなれば、買われ過ぎが意識されることが警戒されます。
しかし、強いガイダンスが示された場合はエヌビディアを中心とするAI関連株のラリーが年末株高をけん引することが期待されます。
利下げ転換期待やAIラリーへの期待に加え、資金需給面も株高の支えとなりそうです。
米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)の残高を見ると、今年3月に5兆ドルを上回ったMMF残高は、7月に5兆5000億ドルを上回り、10月末では5兆6800億ドルに達しました。
11月に入ってもMMF残高は増加を続け、11月8日時点で5兆7121億ドル、11月15日時点で5兆7340億ドル過去最高記録の更新が続いています。
株式市場ではFear Of Missing Out(フォーモ)などと上昇相場に乗り遅れることへの恐怖が高まっていると言われていますが、MMFに滞留する巨額資金も株式市場の支えとなりそうです。