11月はダウ平均、S&P500、ナスダック総合がそろって4カ月ぶりに大幅反発
11月の米国市場では、ダウ平均が8.77%高、S&P500が8.92%高、ナスダック総合が10.70%高とそろって4カ月ぶりの大幅反発となりました。
月間上昇率はダウ平均が2022年10月以来の大きさとなり、S&P500とナスダック総合は2022年7月以来の大幅高を記録しました。
年初来では、ダウ平均が8.46%高、S&P500が18.97%高、ナスダック総合が35.92%高となりました。
上旬は、10月まで主要3指数がそろって大幅に続落したことで売られ過ぎが意識される中、米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通りに政策金利が据え置かれ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が12月FOMCでも利上げを見送る可能性を否定しなかったことが支援となったほか、米10月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)や米10月雇用統計などが弱い結果となり、米国債利回りが大幅に低下し、利上げサイクルの終了期待が高まったことで主要3指数は月初から大幅高となりました。
中旬は米10月消費者物価指数(CPI)や米10月生産者物価指数(PPI)が予想以上に鈍化したことでFRBによる利上げサイクルの終了期待が一段と高まったことや、これを受けた米10年債利回りの低下が好感され主要3指数は堅調が続きました。
下旬は、23日が感謝祭の祝日で休場、24日が午後1時までの短縮取引となり、薄商いとなりましたが、米10年債利回りの低下が続いたことや、年末ラリーへの期待、来年の利下げ転換期待を背景に堅調が続きました。
ダウ平均は月末30日に前日比520.47ドル高の35950.89ドルで終了。終値ベースで8月に付けた高値35630.68を上回り、年初来高値を更新しました。
S&P500とナスダック総合も終値ベースで年初来高値までそれぞれ0.46%、0.92%に迫って11月の取引を終了しました。
第3四半期決算後半戦は総じて好調
第3四半期決算後半戦は、11月はS&P500採用の201銘柄が発表を終え、そのうち89%の179銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。
予想を上回る決算や強い見通しが好感され、エクスペディアが月間で42.91%高、パラマウント・グローバル(B)が32.08%高、セールスフォースが25.43%高、D.R.ホートンが22.29%高、エッツィが21.69%高と急伸したほか、クアルコム、ラルフ・ローレン、タペストリー、エヌビディア、ウォルト・ディズニー、アプライド・マテリアルズ、アップル、ホーム・デポなども月間で2桁高となりました。
一方、弱い決算や通期見通し引き下げが嫌気されシスコ・システムズが7.19%安、ウォルマートが4.72%安となりました。
セクター別ではエネルギーを除く10セクターが上昇
業種別では、11月はS&P500の11セクターの内、エネルギーを除く10セクターが上昇と、ほぼ全面高となりました。
騰落率上位はITが12.7%高、不動産が12.3%高、一般消費財が10.8%高、金融が10.7%高となり、S&P500(+8.9%)をアウトパフォームしました。
一方、騰落率下位は、エネルギーが1.6%安と2カ月続落し、生活必需品、公益、ヘルスケアが3-5%高と比較的小幅な上昇にとどまりました。
年初来では、ITが50.7%高、コミュニケーションが47.3%高、一般消費財が33.3%高と上昇率1~3位となった一方、公益が11.7%安、エネルギーが4.6%安、生活必需品が4.5%安、ヘルスケアが3.7%安となりました。
ダウ平均採用銘柄は25銘柄が上昇、5銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、11月は月間で25銘柄が上昇し、5銘柄が下落しました。
予想を上回る増収増益決算やキャッシュフロー見通し引き上げが好感されたセールスフォースが月間で25.4%高となり、ボーイングもエミレーツ航空が総額520億ドルの航空機を購入すると発表したことや、中国が737Max機の購入再開を検討と報じられたことで24.0%高と急伸。
10月末に好決算や業績回復見通しを発表したインテルも22.5%高となりました。
一方、2024年度第1四半期(8-10月)決算が予想を上回ったものの、2024年度通期の売上高と利益見通しを引き下げたシスコ・システムズが7.2%安となり、業績低迷見通しを背景にウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが5.4%安、通期見通しを引き下げたウォルマートが4.7%安となりました。