ダウ平均が史上最高値を更新 金利低下が追い風
米国株の好調が続いています。2022年に8.78%安となったダウ平均は今年11月以降に急反発し、先週14日に、2022年1月以来、約1年11カ月ぶりに史上最高値を更新しました。
新型コロナウイルス・パンデミックが収束し米国経済が回復する中、インフレが更新し、米10年債利回りが10月下旬に一時5%を上回ったことで今年10月まではダウ平均は上値の重い展開が続きましたが、米10月消費者物価指数(CPI)などの物価指標の伸びが鈍化し、米10年債利回りが低下に転じたことで株式などのリスク資産に再び資金が向かっています。
米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め策が続き、金利高による景気後退懸念も意識されましたが、足もとで発表された経済指標が米国経済の底堅さを示す結果となり、ソフトランディング期待が高まったことも米国株の追い風となりました。
ダウ平均は先週13日から週明け18日まで4営業日連続で史上最高値を更新し、年初来では12.55%高となりました。
年初来ではSOX指数、ナスダック100指数、ナスダック総合指数が大幅高
米国株市場では、ダウ平均のほか、ナスダック市場の大型株で構成されるナスダック100指数や、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)なども史上最高値を更新しました。
米国の主要株価指数の年初来推移を見ると、SOX指数が62.07%高、ナスダック100指数が52.93%高、ナスダック総合指数が42.41%高となったほか、S&P500が23.47%高、ダウ輸送株指数が19.20%高、小型株指数のラッセル2000が12.56%高となり、すべてダウ平均の12.55%をアウトパフォームしています。
上記の7指数の中で上昇率トップのSOX指数では、エヌビディアが242.66%高、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が114.45%高、ブロードコムが105.14%高と軒並み株価が2~3倍となったほか、ラム・リサーチ、インテル、アプライド・マテリアルズ、マイクロン・テクノロジーなども60~80%高となりました。
業種別ではIT、コミュニケーション、一般消費財のハイテク・セクターがアウトパフォーム
S&P500指数の業種別の年初来騰落率を見ると、ITが56.3%高、コミュニケーションが51.7%高、一般消費財が42.0%高となり、S&P500(+23.5%)を大きくアウトパフォームしています。
一方、公益が10.3%安、エネルギーが4.3%安、生活必需品が2.8%安、ヘルスケアが1.5%安と、金利上昇が重しとなったディフェンシブ・セクターや原油安が嫌気されたエネルギーが年初来でマイナスとなっています。
11セクターの中で下落率トップの公益は、10月初旬に年初来の下落率を20.5%まで拡大しましたが、足もとでは米10年債利回りの低下や来年の利下げ期待を背景に買戻しが優勢となり、下落幅を大きく縮小しています。