米国株3月月間回顧

3月は主要3指数がそろって2カ月続落 S&P500が一時「調整相場」入り


3月の米国市場では、ダウ平均が4.20%安、S&P500が5.75%安、ナスダック総合が8.21%安とそろって2カ月続落し、四半期ではダウ平均が1.28%安と3四半期ぶりに下落。S&P500は4.59%安、ナスダック総合も10.42%安とともに6四半期ぶりの大幅反落となりました。


上旬は、トランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に予定通り4日から25%の関税を発動し、中国に対しても10%の追加関税を発動したことで貿易摩擦懸念が強まったほか、経済指標が悪化し景気減速懸念が強まったことも投資家心理を悪化させました。テスラやエヌビディアなどマグニフィセント・セブンを中心にハイテク株が大きく下落し、ナスダック総合は3月6日に史上最高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなりました。


中旬も関税問題や景気減速懸念で軟調な展開が続きましたが、19日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内2回(0.50%)の利下げ見通しが維持され、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米国経済は依然堅調で、関税による物価上昇は短期的であるとの見方を示したことで安心感が広がりました。S&P500は13日に史上最高値から10%超下落し、ナスダック総合に続いて「調整相場」入りとなりましたが、その後は反発し、下落率を10%未満に縮小しました。


下旬も年内2回の利下げ見通しが支援となりましたが、方針が定まらないトランプ関税の行方や景気減速懸念などで月末にかけて再びリスク回避姿勢が強まりました。S&P500は再び史上最高値から一時10%超下落し、ナスダック総合は最高値からの下落率を14.25%に拡大しました。


投資家の不安心理を示すVIX指数は2月末の19.63ポイントから11日に一時29.57ポイントと昨年8月7日以来の水準まで上昇し、22.28ポイントで終了。月間では2.65ポイントの上昇となりました。


S&P500の11セクターは2セクターが上昇し、9セクターが下落


S&P500の11セクターは、月間でエネルギー、公益の2セクターが上昇した一方、一般消費財、IT、コミュニケーション、金融、資本財など9セクターが下落しました。

月間下落率トップの一般消費財では、ナイキが20.1%安と急落したほか、時価総額上位のテスラが11.5%安、アマゾン・ドット・コムが10.4%安となり業種指数を押し下げました。下落率2位のITでも時価総額上位のブロードコムが16.0%安、エヌビディアが13.2%安、アップルが8.2%安、マイクロソフトが6.1%安となり業種指数の重しとなりました。下落率3位のコミュニケーションでもメタ・プラットフォームズが13.7%安、アルファベットが9.3%安と時価総額上位銘柄が大幅安となり、ウォルト・ディズニーも13.3%安となりました。


年初来ではエネルギー(+9.3%)、ヘルスケア(+6.1%)、生活必需品(+4.6%)など7セクターが上昇した一方、一般消費財が14.0%安、ITが12.8%安と2桁安となり、コミュニケーションも6.4%安、資本財が0.5%安となりました。


ダウ平均採用銘柄は8銘柄が上昇し、22銘柄が下落


ダウ平均採用銘柄は、3月月間で8銘柄が上昇し、22銘柄が下落しました。


ディフェンシブ銘柄への物色が強まったことでユナイテッドヘルスが月間で10.3%高と急伸したほか、シェブロンが5.5%高、ベライゾンが5.2%高となり、トラベラーズ、マクドナルド、アムジェンも1-2%上昇しました。


一方、予想以上の減収無通しが嫌気されたナイキが20.1%安と急落したほか、ウォルト・ディズニー、エヌビディア、ゴールドマン・サックス、ウォルマート、アメリカン・エキスプレス、アマゾン・ドット・コムも軒並み2桁安となり、ダウ平均を押し下げました。年初来ではアムジェン、シェブロン、コカ・コーラ、ジョンソン&ジョンソン、スリーエム、ベライゾン、IBM、ビザが2桁高となった一方、セールスフォース、エヌビディア、ナイキ、アマゾン・ドット・コム、ウォルト・ディズニー、アップル、マイクロソフトが2桁安となりました。




 


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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