エネルギー産業やインフラ系など公益性の高い事業を営む企業は、NTT、日本郵政などかつては国営だった企業が民営化され現在も政府が株式を保有しているケースが多いです。
政府が株式を保有していると株価が安定しやすいというメリットがある一方で、株式の流動性は低くなってしまいます。また、政策保有株式の多い企業は相対的に収益性が低いというデータがあります。法改正の可能性もあり、独特のルールやリスクがありますが安定性が高く「リスク分散のため保有したい」という方は多いでしょう。
今回は政府が株主の企業3銘柄を紹介していきます。
政府が株主の企業3銘柄
株式会社INPEX
日本電信電話株式会社(NTT)
日本郵政株式会社
1.株式会社INPEX
「政府が株主」と言えばINPEXを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
株式会社INPEXは、政府が黄金株(拒否権付株式)を持つ唯一の企業です。黄金株とは、重要な議案を否決できる権利を持つ種類株式です。黄金株だけではなく、普通株式も経済産業大臣が2割超保有しています。
INPEXの株式の発行数、流通株式数を見てみましょう。
同社のホームページによると、事業内容は「石油・天然ガス、その他の鉱物資源の調査、探鉱、開発、生産、販売及び同事業に付帯関連する事業、それらを行う企業に対する投融資等」で、1941年に半官半民の国策会社帝国石油株式会社として設立されました。
1950年に民間会社として再発足し、2004年にはジャパン石油開発株式会社(JODCO)と統合、2006年には国際石油開発株式会社、帝国石油株式会社による共同持株会社「国際石油開発帝石ホールディングス株式会社」が設立されます。
2021年には会社名をINPEXに変更しました。
日本最大の石油開発企業で、直近5年間の株価は以下の通りです。
2.日本電信電話株式会社(NTT)
日本電信電話株式会社は、1952年に逓信省、電気通信省と官営で行われてきた電信電話事業を引き継ぎ「日本電信電話公社」として設立されました。
国営企業として電話・通信業を主に展開してきましたが1985年に民営化されました。
現在は政府が3割超の株式を保有しています。
政府は2025年3月14日、NTTに課す固定電話サービスの全国一律の提供義務を緩和するNTT法と関連法の改正案を閣議決定しました。今まで固定電話事業の赤字の一部は交付金で補っていましたが、法案では固定電話を他に提供する事業者がいない場合のみNTTにサービスを義務付ける仕組みに見直されています。
2023年6月には、NTT法廃止と完全民営化が話題となっていましたが廃止は見送りとなりました。
引き続きNTT株を政府が保有する義務は残ります。
3.日本郵政株式会社
日本郵政株式会社も、INPEXやNTTと同様にもともと国営の企業でしたが郵政民営化関連法により日本郵政株式会社と4つの事業会社(郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社かんぽ生命保険、株式会社ゆうちょ銀行)に分かれ、民営化されました。
近年は郵便局での顧客情報流用問題、郵便局において点呼が不適切だったなどの不祥事が発覚しています。しかし、株価は堅調に推移しています。
まとめ
政府が株式を保有する銘柄3つを紹介してきました。
元国営で「政府が株主」と聞くと安心する方は多いと思われますが、独自のメリット・デメリットがあります。取引をお考えの方は慎重に検討していきましょう。