2025年7月5日に日本で大災害が起きる…そんな不穏なうわさが、インターネット上で拡散されました。出所の定かでないこの予言はSNSを通じて海外にも広まり、一部の外国人観光客の間で「日本行きは避けた方がいい」といった風評が広がっています。実際にこのうわさを理由に訪日をキャンセルする動きが相次いでおり、観光業界に波紋が広がっています。
7月5日へ近づいたところ、鹿児島県の南にあるトカラ列島で震度6弱の地震が発生。これを受けてインターネット上ではさらに話題を呼ぶこととなりました。このように日本国内で大きい地震は発生しましたが、結果的に7月5日に日本で大災害は発生していません。根も葉もないうわさだったとしても、Xデーを無事に通過したことには安心感があります。
実際の影響は?
<航空便が減少>
訪日への見送りは特に香港からの影響が大きかったようで、香港から日本への定期便が各地で欠航や減便となったようです。航空会社が主導したわけではなく、利用客減少が理由とされます。
<百貨店にも影響あり?>
各社公表資料を基に弊社作成
インバウンドの代名詞である百貨店の売上動向を見てみると、大手各社ともに6月は良くないことが分かります。6月は各社ともにインバウンドが減少したことを説明しており、少なからず「うわさ」の影響はあるのかもしれません。
ちなみに、1月が好調で2月以降は低調傾向です。2024年は経済活動正常化や円安の影響によって訪日客数が大きく増加していたこともあって、その分の恩恵が売上高に反映された側面があります。7月以降もその反動が考えられますが、月次の落ち込み具合が改善すれば「うわさ」の影響がある程度可視化できるかもしれませんね。
早くもうわさ終了商戦
何も起きなくてよかったと安心感が広まったところ、訪日リベンジのようなキャンペーンも始まっています。例えば、香港の旅行大手WWPKGは「流言終結日」とのタイトルで日本旅行の宣伝を出していました。日本語にすると「デマ終息の日」「うわさが終わる日」などと訳されます。
日本政府観光局(JNTO)が公表している訪日外客数を見ると、5月は369万3300人(前年同月比21.5%増)となり、5月としては過去最高だったとのこと。一方、地域別でみると唯一の減少だったのが香港(前年同月比11.2%減)です。
中国や韓国からの訪日客が同様に減少してもおかしくはないはずですが、香港だけ減少する不思議な状態です。これには、香港が噂の発信源になったとみられていること、中国韓国は団体ツアーが多い一方で香港は個人旅行が多いこと、香港メディアが不安を増長させたことなどが理由として挙げられるようです。
出所:日本政府観光局(JNTO)発表資料を基に弊社作成 上位10カ国のみ掲載
「日本で地震が発生するという情報が SNS 等で拡散されている」といった説明がされており、日本政府も「うわさ」に困惑する状況だったことが分かりますね。上の表で分かるように、香港からの訪日客数は上位に入ります。
今後開示される分がどのような結果となるかが注目されるところ、特に6月は最も訪日控えの影響があったと思われます。7月以降は反動増でインバウンド消費が持ち直すのか、関連銘柄への投資においても重要なポイントとなるかもしれません。