ほぼ100%利下げを織り込んでいたところで「RBA予想外の金利据え置き」となり、豪ドルが上昇しました。RBAは慎重なアプローチに言及しており、安易に利下げを折り込みにいくと再び肩透かしとなるリスクがあります。豪ドルは底堅い推移が想定されます。
2会合連続利下げ予想に反し「RBA予想外の金利据え置き」
8日、豪準備銀行(RBA)は金融政策決定理事会で予想外の政策金利3.85%の据え置きを発表しました。マーケットでは6年ぶりとなる2会合連続の利下げで政策金利を25bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)引き下げ、3.60%にすることが見込まれていました。
金利先物市場で25bp利下げがほぼ100%織り込んでいただけでなく、年内に計3-4回程度の利下げを織り込んでいる状態でした。ただRBAは今年、金融緩和へ舵を切って以降もインフレ見通しについて慎重な姿勢を示してもいました。
直近の四半期経済・インフレ予測では、RBAが重視している消費者物価指数(CPI)トリム平均の数字は予測期間内(2027年前半まで)にインフレ目標(2-3%)中央値である2.5%へ鈍化することはないとの見解でした。
30日発表予定の4-6月期CPIでもインフレ率は高止まりを続けるとして、一部では「7月利下げは確実ともいえない」との声も聞かれていました。ブロック豪準備銀行(RBA)総裁は政策内容発表後の会見で「インフレデータに対する我々の解釈は市場とはやや異なっていた」と、連続利下げを予想していた大方の想定と考えに相違があった点を指摘しています。
豪ドル上昇、今後の動きは
「RBA予想外の金利据え置き」を受け、豪ドルは対ドルでテクニカル面の注目ポイントである日足一目均衡表・基準線0.6482ドルの下抜けをうかがっていた0.65ドル割れ水準から、目先の抵抗と目される同・転換線0.6538ドルを上回る0.65ドル半ばまで急上昇しました(図表1)。
いったん転換線を割り込む0.65ドル前半へ押し戻されており、目先のすう勢を示す5日移動平均線もまだ0.65ドル前半で低下中であり、強い動きにはなりきれていません。しかし下押しが大きく進む展開になっておらず、一定の底堅さを維持している状態といえます。
豪ドル円も底堅く、95円付近で上昇中の転換線付近から上伸。相場の強弱を判断する際の分岐点である200日移動平均線を試す動きとなっています。95円後半で推移する200日線を上回り、一時96円台へ乗せる場面もありました(図表2)。
今後の豪ドルの推移については、ブロック総裁が表明した「慎重かつ段階的な緩和アプローチを維持することが適切」との解釈からすれば、事前に相当程度利下げ織り込みを進めるような動きが再び肩透かしとなるリスクがあるといえます。
「RBAが市場との対話に踏み込む姿勢を示していない」(シンクタンク系エコノミスト)との見方もあり、RBA自体も気迷いの状態かもしれず、利下げ方針を容易に織り込みにくくなっているといえます。拙速な利下げへ慎重なRBAの姿勢を反映して、豪ドルは底堅く推移しやすいと考えることができそうです。