あの株はいまいくら?

第62回 ブティック型フィットネススタジオの運営のLIFE CREATE(352A) 上期は出店コスト増もそこにチャンスあり?

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はLIFE CREATE(352A)をみていきます。


同社は女性向けのブティックスタジオの運営を主たる事業としています。ブティックスタジオとは、特定のコンセプトで体験価値を提供する小規模のスタジオ業態ということです。


同社はブティックスタジオ型の中でも「グループレッスン形式」の店舗を展開しており、グループレッスン形式においては、会員に月に一定回数のレッスンを受講できる月額会費制のプランを提供しています。


ベーシックブランドである「ロイブ(loIve)」および「ピラティスK(pilates K)」を軸に、2024年12月末時点で5ブランド・132店舗を展開しています。


割安感に乏しい公開価格から、初値高騰を期待する声は少なく、公開価格と同程度の初値が予想されていました。ではLIFE CREATEの上場からの株価推移をみていきます。



LIFE CREATEの株価推移(上場から2025年7月8日まで)

2025年4月24日に東証グロースに上場した同社の初値は1280円と公開価格1250円を小幅に上回りました。上場初日、二日目も安値は公開価格を下回ったものの、大きく崩れることはなく、底堅い推移が続きました。


公開価格を挟んだ動きが続く状況で上場後初の決算発表を迎えます。同社は2025年5月15日に通期決算を発表。25.3期の営業利益は10.0億円となり、上場時点の会社予想9.2億円を上回りました。


26.3期通期の会社計画の営業利益は14.2億円(前期比41.4%増)としています。また26.3期上期(4-9月)の会社計画の営業利益はゼロとしていますが、これは1Qに20店舗強の出店を予定しており、出店コストは上期に大きく偏る見込みであることが要因とみられます。なお、同社はピラティスKを中心とした新規出店56店舗により2026年3月末時点には総店舗数206店舗をめざしています。


この決算を受けて翌16日に株価は急騰。高値で1599円まで上昇しました。この1599円が現時点(2025年7月4日時点)の上場来高値となっています。


決算を受けて株価水準を大きく切り上げたものの、勢いは続きませんでした。徐々に下値を切り下げる展開となり、6月5日には安値で1141円まで下落。この1141円が現時点(2025年7月4日時点)の上場来安値となっています。


6月5日に上場来安値を付けてからは底堅く推移し、再び公開価格1250円水準まで上昇しました。その後は公開価格を挟んだ動きが続いていましたが、7月に入り切り返しの動きに。7月7日には5日線が25日線を上抜けるゴールデン・クロスを形成しています。


【LIFE CREATEの日足チャート(上場から2025年7月8日まで)】



今後について

今期の大幅増益を見込むものの、決算発表後の株価はいってこいとなり上場直後の水準まで下落。足もとは切り返しの動きとなっていますが、PERは18倍程度(2025年7月8日時点)です。24時間ジムを展開するフィットイージー(212A)のPERは24倍程度(2025年7月8日時点)、総合スポーツクラブを運営するルネサンス(2378)のPERは24倍程度(2025年7月8日時点)ですので、同社株はもう少し評価されてもよいと思います。


上述していますが、26.3期上期の会社予想の営業利益はゼロです。状況次第では、1Q決算や上期決算で営業赤字になる可能性もあります。決算反応がネガティブに出るような場合は、現時点の上場来安値1141円を下回ってくる状況も想定されます。

ただ、今期は下期偏重となります。そもそも店舗数の増加により収益拡大が期待されることから、下げたところはチャンスになると考えます。



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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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