株式投資では「高配当株」ばかりに注目が集まりがちですが、実は低配当でも人気のある銘柄が存在します。今回取り上げるのは、中古車販売大手の「ネクステージ」と、家計・会計ソフトで知られる「マネーフォワード」です。
どちらも人気の銘柄ですが、現在は株価下落の局面を迎えており、「買い時」か「様子見」かを見極めるタイミングとも言えます。今回は、ネクステージとマネーフォワードの業績動向や株価の背景、そして「低配当でも支持される理由」を詳しく解説します。
ネクステージ(3186)
ネクステージは、中古車販売店を全国に展開する企業です。中古車販売の他、国産車や輸入車の新車販売、車検・修理などの整備サービス、自動車保険の契約、自動車買取、車両のコーティングサービスなど、自動車に関連する様々な事業を行っています。
2024年度の売上高は約5530億円、経常利益は約120億円でした。2025年度は売上高が約6150億円、経常利益は約160億円とどちらも増収・増益となる予想です。経常利益は2022年度から2024年度にかけて2期連続で減益が続いていましたが、今期は回復の見込みとなっています。
ネクステージ株価下落の理由
2025年10月時点の株価は約2300円です。2016年までは約100円前後だった株価は、長期に渡り右肩上がりを続け、2023年7月には約3800円まで上昇しました。しかし、9月に入り、約1900円まで急落します。
株価下落の要因は、中古車販売大手「ビッグモーター」で発覚した保険金不正請求問題が、ネクステージでも行われていた可能性があると報じられたためです。報道後は業績悪化が続き、2025年には一時、約1300円まで株価が下落しました。
ネクステージの株主優待
ネクステージは、これまで一度も、株主優待制度を導入していません。
配当金は連続増配中
2025年度の配当金は、11月末の期末配当にて、年間1株当たり34円となる予想です。この金額は、2016年度の1円、2017年度の2円、2018年度の4円、2019年度の6円、2020年度の7円、2021年度の15円、2022年度の24円、2023年度の32円、2024年度の33円から、9期連続で増配しています。
ネクステージの利回り
1株2300円で100株購入した場合、投資金額は23万円になります。配当金額は年間1株当たり34円のため3400円となり、配当利回りは約1.5%です。なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約0.8%、2022年度は約0.9%、2023年度は約1.2%、2024年度は約1.5%でした。

ネクステージの評判
ネクステージは全国展開する大手企業ですが、保険会社との取引をめぐる不正報道により、企業イメージが低下し、業績悪化と株価低迷を招きました。しかし、2025年に入り企業の悪い評判は払拭されつつあり、業績は回復傾向にあります。
さらに、2025年現在は、物価高による経済悪化が継続しており、中古車業界の業績が上がりやすいと言われるタイミングです。配当利回りは低めですが、今後の業績回復や株価上昇を期待して投資するのであれば、株価が下落している今は、将来的な回復を狙った中長期投資のチャンスといえるでしょう。
マネーフォワード(3994)
マネーフォワードは、法人向けの会計ソフト「マネーフォワードクラウド」を提供する企業です。確定申告や請求書、経費、固定資産などの管理の他、労務管理や経営管理コンサルティングサービスを提供しています。
また、個人向けの自動家計サービスや、経済メディア情報発信、金融機関向けの顧客資産管理サービスなど、お金に関する様々な事業を展開しています。
2024年度の売上高は約400億円、経常利益は約54億円の赤字でした。2025年度は売上高が約510億円に増収となる予想で、経常利益は約42億円の赤字と赤字縮小する見込みです。
マネーフォワード株価下落の理由
2025年10月時点の株価は約5500円です。上場当初の2017年の株価は約1500円でしたが、2020年頃から上昇し始め、2021年には約9000円の高値が付きました。リモートワークの増加や、インボイス制度の開始などで好業績が続いたことで、株価が上昇したと考えられます。
しかし、2022年には約3000円まで下落し、その後は約3000円から約7000円の間で頻繁に株価変動が起こっています。売上高は増加傾向にあり、成長への期待は高い一方で、赤字経営の継続や情報漏えいなどの不祥事が報じられるたびに株価が下落する状態が続いています。
マネーフォワードの株主優待
マネーフォワードは、これまで一度も、株主優待制度を導入していません。
配当金は無配当
2025年度の配当金は、無配当となる予想です。マネーフォワードはこれまで一度も配当金を出していません。
マネーフォワードの評判
赤字経営は続いていますが、売上高は増加しており、現在は成長投資の段階といえるため、中長期的にはさらなる事業拡大が期待されています。インカムゲインではなく、今後の成長による株価上昇を狙う投資家から、注目されている銘柄です。
ただし、業績や株価の先行きには不確実性があり、投資リスクの高い銘柄と評価できます。投資先として検討するのであれば、リスクを十分理解した上で、業績や株価などの最新情報をこまめにチェックすることが重要です。

