「キリン」と「ポーラ・オルビス」は、高い配当金に加えて、自社商品の株主優待が人気の定番銘柄です。しかし、上場廃止の真相や株主優待の変更など、投資前に知っておきたい情報が多い企業でもあります。今回は、そんな2銘柄について詳しくご紹介します。
キリンホールディングス(2503)
キリンホールディングス(以下、キリン)は、キリンビールや一番搾り、午後の紅茶などの酒・飲料を製造・販売する企業です。また、飲料類だけでなく、バイオ医薬品や抗体医薬品の研究・開発・販売および発酵・バイオ技術を用いた健康食品の開発・販売も行っています。
2024年度の売上高は約2.3兆円、経常利益は約1400億円でした。2025年度は売上高が約2.4兆円、経常利益は約2300億円とどちらも増収・増益となる予想です。売上高は増収が続き、経常利益は昨年度大幅減益となったものの今年度は大幅増益しており、業績は好調といえます。
キリン上場廃止の真相
上場廃止したのは、キリンではなくキリンの子会社である「ファンケル」です。ファンケルは、キリンが買収し、2024年12月に上場廃止となりました。
キリンの株価
2025年11月時点の株価は約2400円です。2012年に約1000円だった株価は、2018年には約3100円まで上昇しました。しかし、その後は小さな株価変動を繰り返しながら、2022年にかけて約1700円まで下落しました。2022年以降は約2000円前後をほぼ横ばいで推移しています。
株主優待は2024年に改悪
キリンの株主優待は、毎年12月末の権利確定日に、100株以上の株式を1年以上保有する株主に対して、保有株数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、クオカードもしくは自社製品です。
2024年12月末の権利確定日から株主優待内容が改悪され、継続保有年数の条件追加と継続保有年数3年未満でもらえる株主優待相当額が減額となりました。現時点で贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

配当金は累進配当
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で37円、12月末の期末配当で37円の、年間1株当たり74円となる予想です。キリンは、DOE(株主資本配当率)5%以上かつ累進配当を配当方針として掲げており、今後も増配もしくは維持されることが期待されます。
キリンの利回りと配当利回り推移
1株2400円で100株購入した場合、投資金額は24万円になります。配当金額は年間1株当たり74円のため7400円となり、配当利回りは約3.1%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約3.1%、2022年度と2023年度は約3.4%、2024年度は約3.3%でした。

ポーラ・オルビスホールディングス(4927)
ポーラ・オルビスホールディングス(以下、ポーラ・オルビス)は、エイジングケア・美白ケアにアプローチした高級化粧品の販売やエステ経営を行う「POLA」と、スキンケア化粧品・栄養補助食品・ボディウェアなどをカタログやECサイトをメインに販売する「ORBIS」の2大ブランドを展開する企業です。
2024年度の売上高は約1700億円、経常利益は約161億円でした。2025年度は売上高が約1740億円にやや増収するものの、経常利益は約147億円にやや減益となる予想です。2023年度以降、経常利益の減益が続いています。
ポーラ・オルビスの株価
2025年11月時点の株価は約1300円です。2018年に約5300円の高値を付けましたが、2020年には約1800円まで下落しました。2021年に約3000円まで回復するものの、その後はゆるやかな下落が続いています。
株主優待は2026年に変更予定
ポーラ・オルビスの株主優待は、毎年12月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、保有株数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、自社製品と交換できる優待ポイントです。
2024年12月末の権利確定日から株主優待内容が変更され、継続保有年数が1年以上に改悪される一方、5年以上継続保有以降、5年毎にポイントが追加贈呈される拡充が行われます。現時点で贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

配当金は維持継続
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で21円、12月末の期末配当で31円の、年間1株当たり52円となる予想です。2022年度以降、4期連続で同じ金額を維持しています。
ポーラ・オルビスの利回りと配当利回り推移
1株1300円で100株購入した場合、投資金額は13万円になります。配当金額は年間1株当たり52円のため5200円となり、配当利回りは約4.0%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約2.0%、2022年度は約3.1%、2023年度は約2.9%、2024年度は約3.6%でした。

まとめ
キリンは、配当利回りはポーラ・オルビスに劣るものの、売上・利益ともに回復傾向にあり、累進配当の方針からさらなる増配も期待できます。また、株主優待内容も飲料類や化粧品など幅広いので、ビールを飲まない人にもおすすめです。
一方、ポーラ・オルビスは業績面でやや停滞感があるものの、優待ポイントの長期保有メリットが強化され、長く持つほど魅力が増す仕組みになっています。また、2026年以降は継続保有年数が1年以上に変更されるため、今年は投資を検討しやすいタイミングかもしれません。
