ワークマン(7564)の現在地 2025年の「再浮上」を経て2026年は「飛躍」へ

今回は作業服、関連用品専門チェーンであるワークマン(7564)の現在地を確認したいと思います。2018~2019年を「躍進」、2020年を「暗雲」、2021~2024年を「低迷」、2025年を「再浮上」として、それぞれの時期の状況をみていきます。



2018~2019年 「躍進」

2018年3月15日付の日本経済新聞で、同社がスポーツ用など一般顧客向けのプライベートブランド(以下、PB)商品の販売を拡大すると報じられました。低価格で機能性が高いPB商品に需要が集まっており、収益拡大を図るとしています。

この記事はかなり早い段階で同社のPB商品に注目したものといえます。


2018年8月16日付の日本経済新聞朝刊では、同社がアウトドアやスポーツ系衣料の拡販に乗り出すと報じられました。

記事では、PBの機能性ウエアを専門に扱う新型店「ワークマンプラス」の1号店を、9月に東京都立川市の商業施設「ららぽーと立川立飛」に開くとし、郊外の路面店を主力とする同社にとって、商業施設への出店は初めてとしています。

この記事は、新型店「ワークマンプラス」の記事であり、ここから同社の躍進がスタートしたといっても過言ではないでしょう。


2018年9月以降の既存店売上高は、新型店「ワークマンプラス」も寄与もあり、堅調に推移します。メディアも同社に注目し、2019年4月にテレビ東京系列「ガイアの夜明け」に、同5月にTBSテレビ系列で放送の「がっちりマンデー!!」に、同12月にTBSバラエティ番組「坂上&指原のつぶれない店」に取り上げられるなど、メディア露出も格段に増加しました。


業績ですが、17.3期の経常利益は107億3500万円、18.3期の経常利益は118億5600万円、19.3期の経常利益は147億5500万円、20.3期の経常利益は206億6600万円と拡大。20.3期の経常利益は17.3期のほぼ倍となっています。


業績の拡大が続けば株価も上昇します。2018年1月初旬は2000円程度でしたが、2019年12月17日には1万0570円まで上昇。これが2025年12月時点の上場来高値となっています。


【ワークマンの週足チャート(2018年第1週から2019年最終週まで)】



2020年 「暗雲」

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった年であり、4月には緊急事態宣言が発出されました。そのような状況でも既存店売上高は堅調に推移し、業績拡大も続いていました。しかし、投資家の期待も高まっており、決算発表の際には「材料出尽くし」、月次の発表の際には「伸び鈍化」といった言葉が出始めました。


業績は20.3期の経常利益は206億6600万円、21.3期の経常利益は254億0900万円と順調に拡大。ただし株価は、新型コロナウイルスへの懸念で大きく下げたところからは切り返したものの、年末には8000円台まで下落しました。


【ワークマンの週足チャート(2020年第1週から2020年最終週まで)】



2021~2024年 「低迷」

2021年に入り同社の勢いに陰りが見え始めます。2021年2月度既存店売上高は4%減となり、41カ月ぶりに前年同月実績を下回りました。証券会社により目標株価引き下げも相次ぎ、投資家の注目度は低下していきます。


2022年5月9日には23.3期通期の連結営業利益予想を245億円(前期比8.7%減)だと発表。減益予想に加え、市場コンセンサス(アナリスト予想の平均)282億円を大きく下回ったことは、投資家の失望につながりました。


2023年2月には作業服メーカーから脱皮し、アパレル市場に本格参入する方針を明らかにしました。ワークマンカラーの名称で、9月にも都心に店舗を出す予定と発表。ただ、この時期から月次の既存店売上高が前年同月を下回ることが多くなってきました。


業績は、23.3期の営業利益は241億円(前期比10%減)、24.3期の営業利益は231億円(前期比4%減)と減益での着地。25.3期の期初の会社計画の営業利益は236億円(前期比2.1%増)と小幅な増益を見込みましたが、市場コンセンサス248億円を下回っており、市場の期待に応えられない状況が続きました。


このような状況ですので株価も低迷します。2022年1月には8000円を超えていた株価ですが徐々に下値を切り下げ2023年に入り3000円台まで下落。株価の低迷に合わせるように株式市場で話題に上ることも少なくなっていきました。



【ワークマンの週足チャート(2021年第1週から2024年最終週まで)】



2025年 「再浮上」

2025年に入り、1月に同社は女性向け店舗「#ワークマン女子店」を「Workman Colors店」に改名すると発表しました。人口が少ない地方ほど広い客層の取り込みが必要なため、男性客も集客しやすい店名に変更するということです。

女性客の取り込みというということを目的とした店舗名だったと思いますが、男性客はどうしても入店を躊躇してしまします。


同年3月には「#ワークマン女子第1号店」であったコレットマーレ店を「Workman Colorsコレットマーレ桜木町店」に全面改装し、3月7日に首都圏の旗艦店としてオープンすると発表。ただ、これらの発表は株価を上昇トレンドに転じさせるほどのものではありませんでした。


しかし、5月から流れが変わります。同社は5月に26.3期通期の営業利益予想を260億円(前期比6.6%増)にすると発表。市場コンセンサスは258億円でしたので、市場の期待を超える会社予想となりました。

併せて、中期成長ビジョン2030の策定も発表。最終年度の定量目標として、営業利益350億円、店舗数1300店舗(25.3期は1051店舗)をめざすとしました。


決算と中期成長ビジョンが好感され株価は上昇を始めます。


次に「猛暑」も同社の株価水準を引き上げた要因です。6月から真夏並みの厳しい暑さが続いたことで、空調服などの猛暑対策商品の販売が好調となりました。


そして、秋以降はリカバリーウエアがヒット。同社では、室内着を中心としたこれまでのラインアップに外出着や毛布などを加え、9月1日から発売。今シーズンの売上高は34億円をめざすとしています。


このような好材料が出てきたこともあり、アナリストの目標株価の引き上げも相次ぎました。そして株価は2025年11月に7000円の大台を回復しました。


【ワークマンの週足チャート(2025年第1週から2025年12月第4週まで)】


最後に

今回はワークマンの現在地を確認しました。個人的には2020年以降の低迷は、コロナ禍という特殊要因もありますが、アパレル色を強めていったことで同社の強みである「機能性」という魅力が低下したように思います。他のアパレルとの競争が激しい分野に自ら飛び込んでしまったと考えます。


アパレル色を強める同社に大丈夫なのかと思っていましたが、2025年の空調服およびリカバリーウエアのヒットをみて、安心しました。

とくにリカバリーウエアは同社の強みである「機能性」の高いものを安く提供するという、本来の姿に戻ったように感じます。


同社の「機能性」という強みをしっかりと消費者にアピールできれば、株式市場でも再評価の機運がさらに高まると考えます。2026年が飛躍の年となることに期待したいと思います。


日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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