S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成される株価指数です。構成銘柄に採用されるには米国企業であることが前提で、それは米国内での売上高や固定資産、本社所在地などで判断されます。
構成銘柄の定期見直しは四半期ごとに行われ、新陳代謝を繰り返します。2025年に新たに採用されたのは21銘柄で、4年ぶりに20銘柄を超えました。2025年の主要IPO銘柄として、前編ではカーバナ(CVNA)とサンディスク(SNDK)を取り上げました。後編ではCRH(CRH)、アレス・マネジメント(ARES)、コンフォート・システムズUSA(FIX)をご紹介します。
サンディスク、データストレージ製品を開発
サンディスク(SNDK)は、ウェスタン・デジタル(WDC)の全額出資子会社でしたが、2025年2月に完了した分社化を受け、上場企業として再スタートを切りました。ウェスタン・デジタルがハードディスクドライブ(HDD)技術に特化する一方、サンディスクはNANDフラシュ技術に基づくデータストレージ製品の開発と製造を手掛けています。

製品は「サンディスク」ブランドで販売しています。ただ、分社後の移行期ということもあり、一部の製品は「ウェスタン・デジタル」や「WD」のブランドで提供しています。
売上高は最終市場別に「エッジ」、「コンシューマー」、「データセンター」に分かれています。「エッジ」事業ではパソコンやゲーム機、デコーダーなどにデータソリューションを提供するほか、携帯電話やノートブックパソコン、ウエアラブル端末、車載デバイスなどに向けた組み込み型のストレージ製品を開発しています。2025年6月期の売上高は前年比1%増の41億2700万ドルでした。
「コンシューマー」事業の売上高は横ばいの22億6800万ドル。SDカードやマイクロSDカードといったメモリーカードをはじめ、USBフラシュドライブなどを提供しています。

市場別で急成長しているのが「データセンター」事業です。高性能な企業向けのソリッドステートドライブ(SSD)を軸に展開し、企業用のサーバーなどで利用されています。最近では人工知能(AI)関連の作業で利用されるケースが増え、売上高は3倍の9億6000万ドルに急増しています。
株価は分社後、2025年8月ごろまでもみ合う展開が続いていましたが、9月以降に急騰し、時価総額がS&P500の採用基準である227億ドルを超えました。
CRH、建設資材の製造・販売のスペシャリスト
CRH(CRH)は建設資材の製造と販売を手掛けています。骨材、セメント、コンクリート、アスファルトなどの基本資材に加え、建物の建設時に必要な鉄鋼製品なども提供します。
CRHの源流はアイルランドで1936年に創業したセメント社と1949年創業のロードストーン社に遡ります。両社は1970年に合併し、CRHが誕生しました。

米国への進出は1978年で、コンクリートメーカーを買収し、足場を築きました。その後も建設資材メーカーを相次いで買収し、事業を拡大させています。
現在の主力マーケットは米国で、2024年12月期の売上比率は約58%に上ります。ただ、今もアイルランドに本社を置くなど欧州でのプレゼンスは大きく、欧州を中心とする国際部門は売上比率が39%に達しています。

CRHは28カ国で事業を展開しており、製造機能も広範な地域に点在しています。セメント工場は米国南部に4カ所、西部に6カ所、五大湖周辺に2カ所で合わせて12カ所。欧州では英国、アイルランド、フランス、ポーランド、ウクライナ、ルーマニア、スロバキアに計16カ所、アジア太平洋ではオーストラリアとフィリピンに計7カ所のセメント工場を稼働させています。
また、骨材やセメントなどの原材料となる砕石、砂、砂利、石灰なども自社採掘で調達します。北米や欧州、オーストラリア、フィリピンに採掘場を持っています。
コンフォート・システムズUSA、建物の機械工事が中核
コンフォート・システムズUSA(FIX)は建物の機械・電気工事を手掛けています。米国の136都市でサービスを提供します。
主力事業は機械工事サービスで、2024年12月期の売上高の約79%を占めています。暖房・換気・空調(HVAC)の空調システムに加え、配管や機械系統の制御、モニタリング、防火システムなどが工事の対象です。電気工事サービスの売上比率は21%で、電気系統全般の据え付けを担います。

工事の主な対象は、工場、病院、学校、店舗、政府庁舎などで、機械・電気システムの据え付けだけではなく、保守、修理、交換も手掛けています。
米国では人工知能(AI)時代に技能の高い肉体労働者が高収入を得る「ブルーカラービリオネア」現象が注目を集めました。株式市場でも2025年9月にエンジニアリングのエムコア・グループ(EME)がS&P500に採用され、同業のコンフォート・システムズUSAが12月に採用銘柄になるなど、こうした流れには共通項があるようです。
ただ、エンジニアリング企業が注目を集める現象のもとをたどれば、AIのトレーニングに必要なデータセンターの建設需要に行き着きます。コンフォート・システムズUSAとアムコアはそれぞれ2024年12月期決算が好調でしたが、データセンターの建設が活発化し、機械工事部門や電気工事部門の売上高を押し上げたことが好業績に結びついています。
コンフォート・システムズUSAの2024年12月期決算は売上高が前年比35.0%増の70億2700万ドル、純利益が61.5%増の5億2200万ドルと順調に成長しています。




