今回解説していく通貨はノルウェー・クローネ円(nok/jpy)とスウェーデン・クローナ円(sek/jpy)です。両通貨とも明確な上昇トレンドにあり、ともに長期視点での重要なレジスタンス水準が近づいてきました。歴史的な高値更新となるか注意して見ていきましょう。
ファンダメンタルズ面では、ノルウェー中銀によるインフレ警戒姿勢が強まりつつあり、スウェーデン中銀の利上げ転換時期は予想より早まるとの見方も。両中銀とも今後の金融政策に注目が集まっています。
今後の相場の焦点:ノルウェー中銀総裁がインフレをけん制、スウェーデンは利上げ時期が早まるか
まずはノルウェーおよびスウェーデンの現在の金融政策状況を確認していきます。
ノルウェー中銀(ノルゲバンク)は2021年9月から金融引き締めを開始。2023年12月には政策金利を4.50%まで引き上げて、2025年6月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は4.00%となっています。
金利据え置きを決めた直近1月会合時の声明文では
・今後の見通しは不透明だが、経済が概ね現在の想定通りに推移すれば、政策金利は年内にさらに引き下げられる可能性がある
・インフレ率は大幅に低下したが、依然として目標の2%を上回っている
・依然として引き締め的な金融政策が必要であると判断
・12月に提示された政策金利見通しは、2026年中に1回から2回の利下げを想定
・委員会の現在の評価では、金利見通しは12月以降大きく変わっていない
などの見解を示しました。
今後も穏やかな金融緩和局面が続く見込みでしたが、その後に公表された1月分の消費者物価指数(CPI)が前年比3.6%とインフレ再加速を示しました。
これを受けてバーチェ中銀総裁は「1月のインフレ率は加速し、我々の想定を上回った」「インフレ率を2%に戻すことを確実にする」と言及。中銀総裁の力強いインフレ抑制方針を受けて、先行きの利下げ観測に対する不透明感も高まってきました。
スウェーデン中銀(リクスバンク)は2022年4月に金融引き締めを開始。2023年9月に政策金利を4.00%まで引き上げて、2024年5月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は1.75%です。
金利据え置きを決めた直近1月会合時の声明文では
・インフレ率は12月の予想を下回り、現在は目標の2%に近づいている
・全体として12月以降のインフレと経済活動の見通しはほぼ変わっていない
・理事会は現在の金利水準が長期的な経済活動の強化とインフレ率の目標付近での安定化に貢献すると評価
・政策金利は12月の予測通り、当面この水準で推移すると予想される
などの見解が示されました。
中銀は昨年の時点で「緩和サイクルはおそらく終了した」との見解も示しており、次の一手は利上げと予想されています。市場では当初利上げ開始は2027年以降と想定していましたが、足もとのエネルギー価格の高騰によってインフレ圧力が高まるとの思惑から、今年の秋にも利上げに動くといった見方も浮上しています。
NOK円 週足チャート分析:上昇トレンドが強まり、17円台のレジスタンスゾーンも視野に
ではテクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図のチャートはノルウェー・クローネ(NOK)円の週足チャートになります。

NOK円は2020年3月に史上最安値となる8.97円まで下落した後は買い戻し基調となっています。現在は2023年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内の動きとみてよさそうですが、足もとでは買いが加速しており、想定していたチャネルラインも上回ってきました。
また、チャート下部に追加した「DMI」によると+DI>-DI(上昇トレンド)で、トレンドの強さを示すADXも数年来の水準まで上昇。はっきりとした上昇トレンド傾向が示されています。
足もとで調整らしい調整も経ないまま上値を伸ばしてきた点は気になるところですが、次の上値目標は2013-14年の間にレジスタンスとして度々意識されていた17円台(チャート上の四角で囲った部分)となりそうです。
SEK円 月足チャート分析:上昇加速で30年来のレンジ上限が近づく
次はスウェーデン・クローナ(SEK)円について、テクニカル面で現在の状況を確認していきましょう。下図のチャートはSEK円の月足チャートになります。

SEK円は2020年3月に直近安値をつけた後、しっかりとした買い戻し基調となっており、足もとでは想定のチャネルラインも上抜けて買いが加速。17.60円台まで上値を伸ばしました。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても+DI>-DIと上昇トレンドを示唆。トレンドの強さを示すADXもしっかりとした上昇基調にあります。
今後のターゲットは1998年および2007-08年につけた18円台。1990年代後半からの約30年間は10-18円台のレンジ相場が続いていたと言っても過言ではなく、このまま18年ぶりにレンジ上限を試しにいくことができるか注目です。
今後の取引材料・変動要因をチェック:各中銀の金融政策に注目
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日本・ノルウェー・スウェーデンの金融政策。ノルウェーでは中銀総裁がインフレ警戒姿勢を強めており、従来の金融緩和方針に変化が生じる可能性があるでしょう。スウェーデンは利上げ開始時期への言及などに注目。日銀については政府からの緩和圧力に対して、日銀側がどのような回答を示すかがポイントになります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合
・3月19日 スウェーデン スウェーデン中銀、政策金利公表
・3月24日 日本 3月全国消費者物価指数(CPI)
・3月26日 ノルウェー ノルウェー中銀、政策金利公表
・4月7日 スウェーデン 3月CPI
・4月10日 ノルウェー 3月CPI



