日経平均は3月に入って急落
日経平均株価は3月に入って、中東リスクの高まりを背景に大きく下落しました。2月26日には5万9332円43銭の高値をつけましたが、3月9日には一時4000円を超える下落となり、5万1407円66銭まで下げる場面がありました。
6万円が射程圏内に入っていたところから、短期間で5万割れが警戒されるレベルまで水準を切り下げています。

急落前のPERは20倍を超える
急落前の日経平均はPERが20倍を超えていました。日経平均にもPERがあることについては、「日経平均のPER」をご参照ください。ちなみに、2023年6月時点では、日経平均はPER15倍で過熱感を意識するような環境でした。
日経平均のPER20倍台というのは、過去の推移を見るとかなり高い水準です。それでも、2026年に入ってからは1月にも20倍を超える日が何日かあり、足元では20倍台が許容されるような状況となっていました。
前提が変わると高PERは許容しづらくなる
ただ、PER20倍が許容されていたのは
支持率の高い高市政権が長期政権になるとの期待が高まる
↓
高市首相が主張する積極投資が実を結び、企業業績や日本経済に好影響が及ぶ
↓
企業の利益が増加するので、現時点の20倍は将来から見れば割高とは言えない
というシナリオが支配的になっていたからと考えられます。
中東の地政学リスクが高まった際に、短期間で原油価格が大きく上昇しました。エネルギーを輸入に頼る日本にとって、原油価格の急上昇は大きな懸念材料となります。多くの日本企業の業績に悪影響が懸念されますので、そうなると、これまで許容されていたPER20倍は「ちょっと割高だよね」という見方に変わってきます。その結果、これまで日本株の上昇を牽引していた銘柄の多くも割高に映り、短期間で多くの銘柄が派手に下げるという事象が発生しました。
値を保つからこそ高PERでいられる
指数にしても個別銘柄にしても、PERが高い状況というのは、価格が大きくは下がらない、すなわち、テクニカルで見ても基調が強いケースが多いです。ファンダメンタルズでは若干過熱感があっても多くの投資家が買いたくなる魅力があり、押し目は拾われる。それが長く続くことで高いPERが許容されるという図式です。
高PERになってくると、失速した際には利益確定売りが急がれて、不安定な動きが出てくることも多くなります。ただ、早期に下げた分を戻してくれば、「押し目は買い」との経験則が蓄積されます。実際、ここまでの日経平均は、何度も急落を経ながら中期では上昇トレンドが続いています。
チャートの形状が悪化して、それが早期に解消されないようだと、ファンダメンタルズで大きな変化がなかったとしても、買いたい投資家が減って売りたい投資家が増えてきます。この悪循環に入ってしまうと、値ごろ感が出てきても株価は上がりづらくなってきます。
個別銘柄でも、高PERが許容されていた銘柄が、急に崩れて下値模索が続くといった動きが見られます。最近では、任天堂(7974)やサンリオ(8136)などブランドイメージが高かった銘柄が、昨年後半にかけて大きく水準を切り下げています。
上昇継続には天井感を出さないことが重要
日経平均に関しては、崩れたといっても3月10日時点のPERは19倍台で、20倍を割り込んでもそこから転げ落ちるというほどの動きにはなっていません。上昇基調が続くためには、天井感を出さないことが重要となります。
カギを握るのは、やはり原油価格になると思われます。原油価格が早期に落ち着けば、日本企業への悪影響は限られると思われます。この場合、成長シナリオに沿って日本経済が良い方向に進むとの期待が高まります。
短期的にはもろい動きを見せましたが、足元では押し目買いも入っています。急落を経ても早期に20倍台に乗せてくるようなら、それは過熱感の高まりではなく、将来期待の高さを示唆する動きと市場では受け止められるでしょう。



