BTC、原油先物に振らされ…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年3月11日14時頃、対円では前週(7日前)比で約0.3%高の1109万円台で取引されています。対ドルでは、節目の7万ドルを挟んだ値動きです。
先週1163万円まで上げたBTC円でしたが、週末にかけて1000万円手前まで水準を落としました。懸念材料はやはり、米国とイスラエルのイラン空爆に端を発した中東地域の混乱です。イランからの報復攻撃が、(おそらく)想定以上に中東諸国を苦しめました。
原油価格の国際的な指標となるWTI原油先物相場は、週引けにかけて1バレル=90ドル超えまで上昇。週明けも上向きに窓を開けて始まり、あっさりと100ドル台に乗せ、一時は120ドル手前まで急騰します。イラン戦争が始まる前には67ドル前後でしたから、上昇率は75%超えまで拡大しました。
エネルギー高による世界経済の減速懸念が一気に高まり、リスク回避の株売り、暗号資産売り、有事のドル買いが進みました。もっともG7が石油備蓄の協調放出を検討との報道を受けて、原油先物が反落するとリスクセンチメントも急速に改善します。
BTC円は9日早朝につけた1004万円付近から真夜中には1100万円台を回復する場面がありました。いったん緩むも、再び原油先物が急落すると、10日真夜中には1132万円台まで水準を上げました。
BTCドルも、先週高値7万4000ドル前後から週末には7万ドル割れで推移。週明けに6万5600ドル台で底打つと7万1700ドル台まで持ち直す場面がありました。

※Trading Viewより
トランプ米大統領のおかげ
BTCの反発は、イラン戦争に対するトランプ米大統領の楽観的な見方も影響しました。トランプ氏は、「戦争はほぼ完了したようなものだ」と述べたほか、「短期的な遠征にとどまるだろう」との認識を示しました。
これを受けて「地政学リスクが後退する」との期待が広がり、2月安値から20%近く上昇した水準の7万ドル台を回復。一部では、相場の空気が変わったとの見方も出てきました。機関投資家からの需要回復の兆しも要因の1つとされています。
現物ビットコインのETFは5、6日と資金が流出していたところから、9、10日は純流入に転じてました。2日間の流入額は、その前2営業日の流出より小さいのは確かです。しかしながら、明らかに弱気に傾いていた市場で「買う主体が戻ってきた」という受け止め方もできます。

ストラテジー、まだ買い余力あり
上場企業でビットコインを最も保有している米ストラテジーは9日、BTCを追加購入したことを発表しました。ビットコインの信奉者として知られるマイケル・セイラー氏が率いる同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、8日までの1週間で1万7994BTCを約12億8000万ドルで購入したということです。
BITCOIN TREASUREIES NETによれば、これでストラテジー社は合計で73万8731BTCを保有。平均所得価格は7万5860ドルです。この種の買いは短期筋の売買とは意味が違うものの、不思議なことに、平均所得価格がBTCドルの抵抗水準となっています。

※BTCドルチャート
全体の3.7%、大きいの小さいの?
前述したストラテジー社の総保有量73万8731BTCですが、執筆時点では、ビットコインの総供給量の約3.7%です。一つの企業としては無視できない規模であり、かなり大きいと言えるでしょう。しかしながら、市場全体で見れば極端とまでは言えません。
確かにストラテジー社は、単独企業としては突出した保有者です。実際に市場で流通している分は、2000万BTCより小さいため、需給への影響は見かけ以上に重くなりやすいことが予想されます。
また、集中保有リスクはあります。実際に大量売却しなくても、「売るかもしれない」という潜在的な懸念が市場の重しになりそうです。大口保有者の存在は、それだけで参加者を敏感にさせて価格変動を大きくすることがあります。
ここで考えるべきは、リスクの本質が保有量そのものより、ストラテジー社の財務と資金調達にあることでしょう。ビットコイン下落で同社の株価や調達環境が悪化すれば、市場は将来の買い継続に慎重になり、BTC需給にも影響が及びやすくなることが考えられます。
一方で、過大評価も避けるべきです。ストラテジー社以外は、現物ETFや他の企業、取引所、個人などに分散しており、一社だけで価格やネットワークを支配できるわけではありません。保有集中ことと、ビットコインの仕組みやルールは別問題として切り分ける必要があります。

宇宙でマイニング?!
9日に、ビットコインの累計発行量が2000万枚に達したことが話題になりました。発行上限2100万枚のうち、実に95%超がすでにマイニング(採掘)された計算です。
そういったなか、こういったニュースもありました。
「Nvidia支援の米スタークラウド、宇宙でのマイニング計画を発表」
米スタークラウドは、今年後半に打ち上げる衛星でビットコインのマイニング計画を発表しました。具体的には、同社の第2衛星にビットコイン採掘専用のASICを搭載し、軌道上で計算処理を動かす構想です。
狙いは、宇宙空間で得られる太陽光電力を使いながら、軌道上データセンターの実用性を示すことにあります。つまり、ビットコインを掘るというより、「宇宙に計算設備を置いて動かせるか」を試す意味合いが強い話です。
ただし、現時点では実用化が見えた段階ではありません。打ち上げコスト、安定運用、採算性など課題は多く、まだ実証色の強いテーマです。すぐにビットコイン市場を変える材料ではありませんが、むしろ、将来の計算インフラが地上から宇宙へ広がっていく可能性を感じさせる話と言えます。
※今週のまとめ↓




