ヒット商品から投資銘柄を見つける

大ヒットしたヤクルト1000と株価の関係


株式投資というと、「よくわからない」「難しそう」というような意見をみかけることがあります。実際、株式の専門家の方などは、世界経済や難しい金融知識をもとに、いろんな数値を計算して株価を予測したりしますし、株式に関連するニュースでは専門用語もたくさんあって、理解しにくいと感じる場面はありますよね。ですが、それらをすべて理解しないと株を買えない、というわけではありません。


東京証券取引所の代表的な市場であるプライム市場に上場する企業は2022年7月時点で約1700社。そのなかにはわたしたちが日常生活のなかで、常に目にするような商品やサービスなどを取り扱っている企業がたくさんあります。そして、「最近、この商品いろんなところでみかけるな」「テレビで紹介されたこの商品、きょう売り切れになってるな」と気づくような場面があることでしょう。そうした日常のなかの気づきが、株式投資の大きなヒントになるのです。


直近だと「ヤクルト1000」が大きな話題となりました。1ミリリットル当たり10億個の生きた「乳酸菌シロタ株」を含む機能性表示食品として、「ストレス緩和」や「睡眠の質向上」といった機能があるとされたことで、各種SNSやテレビ番組などで取り上げられ、人気に火が付きました。


あまりの人気ぶりに店頭では常に品薄状態。宅配の申し込みが一時制限される例もみられました。ヤクルトでは生産ラインを強化し、この7月から増産のめどがたったということで、こうした状況も解消に向かうものと思われますが、この間、同社の株価はどのように推移していたのでしょうか。


ヤクルト本社の日足チャート




グラフを見ていただければ、一目瞭然ですが、きれいな右肩上がりで上昇していることがわかります。グラフに表示されている期間に約4割も上昇。仮にグラフの一番左側の時点で100万円分ヤクルト本社株を購入していた場合、直近では140万円近くにまで増えていることになりますね。


2022年上半期ヒット商品


こうした事例は株式市場ではよくみられます。日本新聞経済社が発表した2022年上期(1-6月)の日経MJヒット番付を参考にほかのヒット商品も見てみましょう。「ヤクルト1000」は東の前頭にランクインしましたが、今年話題になったものとして、西の横綱には「リベンジ旅行」が番付されました。


株式市場では、まん延防止重点措置が解除されたことしの3月ごろは、旅行関連銘柄の多くが上昇し、近畿日本ツーリストやクラブツーリズムを傘下に持つKNT-CTホールディングスやHISなどの株価が大幅高となりました。また、東の前頭にランクインしたゲーム「エルデンリング」の販売に携わったバンダイナムコホールディングスは、同作が話題となった今年4月から5月にかけて約2割も株価が上昇する場面がありました。


KNT-CTホールディングスの日足チャート



バンダイナムコホールディングスの日足チャート




いくつか例を挙げてみると、株価が上がるのはどんな時か、わかってきたように感じませんか。専門的な知識や計算は必ずしも必要ではありません。難しく考えなくとも、普段の生活のなかに株式投資のヒントはあふれています。気になった商品があれば、その会社の株を買ってみるのもいいかもしれません。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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