2025年が始まりました。今年は巳(へび)年ということで、変化の年とされます。2024年は相場が上昇する一方で、世界的に情勢が不安定。物価も高騰する年となりました。今年は生活苦が改善するような変化に期待したいですね。
そうと言いつつ、2025年も引き続き値上げラッシュです。報道によれば、1月から4月までに値上げが予定されている食品は6000品目余あるとのこと。不作によって生鮮食品は高騰していますし、鳥インフルエンザが猛威を振るうと家計の味方である卵も高くなります。1パック300円超えの事態が収束したと思っていましたが、再び不安になってきますね。
最近ではコンビニだとワンコインでお弁当が買えません。外食はもはや贅沢といえるなか、各社の値上げが続きます。日本中が値上げの流れなので、消費者としても受け入れざるを得ない、といった雰囲気です。コロナ禍が終わって行動制限がなくなった今、外出機会の増加やインバウンド消費、値上げ効果もあって外食企業の売上高は増加基調です。
このように値上げ→売上増加のサイクルが実現しそうだったところ、おや?となる出来事がありました。今回はタイトルの通り、おなじみのマクドナルドについてみていきたいと思います。
マクドナルドで何が起きた?
毎月の初めは月次実績が多くの企業から開示され、ハンバーガーチェーン「マクドナルド」を展開する日本マクドナルドホールディングス<2702.T>も毎月上旬に月次発表を行っています。
よほどのことがない限り月間の既存店売上高は前年同月を上回っており、投資家の間でもその安定感に対して定評がありました。コロナ禍で外食の休業が相次いだ2020年でさえ前年同月比マイナスとなったのは3月と6月のみでした。
ところが、2024年12月の月次実績は既存店売上高が前年同月比で0.4%減少というまさかの結果に。24年はシステムトラブルの影響があった7月がマイナスとなっているものの、今では解消されています。イレギュラーがないなか、12月の伸び悩みは投資家の間でも話題となっています。
出所:日本マクドナルドホールディングス 月次IRニュース 2024年12月
既存店売上高だけでなく、客数、客単価ともにわずかではありますが減少しました。イメージとしては客数1000人→999人、客単価は1000円→997円のようなものです。著しく悪化したというわけではないものの、11月の好調ぶりをみるとどうしても12月のマイナスが目立ちます。
何かと話題にあがるハンバーガー値上げ
マクドナルドのハンバーガーは何かと話題が豊富です。例えば購買力を比較するために用いる経済指標「ビッグマック指数」は有名ですね。2024年のビッグマック価格ランキング1位はスイスの8.07ドル。対して日本は44位の3.19ドルでした。1ドル150円換算だと、スイスは1214円、日本は480円。価格差はなんと2.5倍もあります。
日本のハンバーガーは世界的に見ると安いのかもしれない?と思いますが、日本人感覚ではちょっと違いますよね。物価や賃金の上昇率は各国さまざまで、日本は世界に比べると物価・賃金ともに低空飛行となっています。安価で手軽に食べられるマックのハンバーガーが値上げとなると、庶民にとっては一大事です。なお、ハンバーガーの価格を時系列にすると下のチャートのようになりました。
※筆者作成
こうみると、ハンバーガーも価格の上下が大きいですね。人によって、強く印象に残っているハンバーガーの価格は異なると思います。今でこそ1個170円ですが、筆者の記憶に深く染みついているのは60~100円です。60円台に落ちた時期、筆者はちょうど小学生になった頃でした。少ないお小遣いでも買えるハンバーガーは非常に思い出深いものです。
再度値上げとなってしまうと、バブル期の価格に迫ります。価格改定は20円幅が多いので、次は190円ということも考えられそうですね。マクドナルドは安価なハンバーガーというイメージがありましたが、昨今では商品によってモスバーガーやフレッシュネスバーガーといった高価格帯に肩を並べます。
マクドナルドについては12月がたまたま悪かっただけなのか、それとも消費者が離れて行っているのか、1月以降の数字でより確度が高まるでしょう。マクドナルドに限った話ではなく外食産業全体にも言えることなので、今年の売上高や客数がどのような推移をたどっていくのか、投資の観点においても重要なポイントとなりそうです。
かといって消費者回帰のために値下げしてしまうと、今度は利益率が悪化しかねません。上場企業である以上は利益追求がマスト。国民全体の所得が伸びないなか、外食産業は難しい舵取りを求められます。