データセクションの株価は5月高値から75%下落 好決算の陰に潜む「売り上げ消失」

データセクション(3905)の株価は5月29日に付けた上場来高値6140円から大きく下落し、足もとでは1500円程度で推移しています。株価の下落が続いていたなか、同社は2026年8月14日に「2027年3月期第1四半期(1Q)決算」と「大口受注の契約解約」を発表しました。


「大口受注の契約解約」は、1Qに大きな利益をもたらした材料(追加受注案件にかかる案件組成・紹介手数料収入)としてアピールされています。しかし、会社側の開示資料を読み解くと、これが今期業績の下振れへとつながる可能性があることがわかります。今回はデータセクションの業績の下振れ懸念について考えてみます。



1. 「55億円」の手数料と引き換えに消えた、約743億円の穴

同社の2027年3月期1Q決算は、売上高が前年同期比9.5倍の63.3億円(前年同期比9.5倍)、営業利益が48.4億円の黒字(前年同期は3.4億円の赤字)と、劇的な黒字転換を遂げました。この急拡大をけん引したのは、業務提携先のナウナウジャパンから受領した55.8億円の「案件組成・紹介手数料」です。


この手数料は、海外パートナーの保有するインフラを活用したGPUサーバー利用契約(追加受注案件)から撤退し、解約することに伴い1Qに一括計上されたものです。会社側は残存契約期間18カ月間の想定粗利をベースに交渉したものと説明しています。


しかし、失われた売り上げの規模は深刻です。当初の通期予想において、この追加案件からは今期798.6億円の売上高が見込まれていました。解約に伴い今期獲得できたのは一括手数料の55.8億円のみです。つまり、差し引き約743億円もの売上高が今期予想から消失したことになります。今期の当初売上計画1621.9億円の4割以上を占める事業が消滅した実態は、重いといえます。



2. 自社データセンターの「稼働遅れ」という二重の打撃

さらに市場の不安を強めているのが、本来の中核事業である自社AIデータセンター(日本・オーストラリア・タイの3拠点)の進ちょく遅れです。 同社は、これら3拠点において2026年8月からの稼働を前提に、今期売上として788億円を計画していました。


しかし、最新の進ちょく資料には「フル稼働の開始見込時期に遅れが生じている」と明記されています。自社案件の稼働遅れによる売り上げの下振れも懸念されているようです。



3.通期予想据え置きは大丈夫?

これほどの打撃を受けながら、同社は2027年3月期の通期計画(売上高1621億円、営業利益248億円)を「据え置き」にしています。その根拠は「その他大型見込パイプライン(主にTAIZA関連の受注計画)により補うことが可能」という判断です。


しかし、これらはあくまで現時点では未確定の「計画」に過ぎません。どのような顧客と、いつ、どの程度の価格で正式な契約合意に至るのか、インフラ稼働が遅延する中で今期中に本当に売り上げ計上できるのかといった、客観的な確証はありません。740億円を超える売り上げの穴を、これから獲得する見込み案件だけで埋め戻せると楽観視するのはリスクが高いといえます。



結論

1Q決算の黒字実績は、将来の利益を先食いして一括回収した「一回限りの手数料」によってお化粧された部分が多分にあります。現在の株価1500円台という現実は、会社の掲げる「パイプラインによるカバー」という楽観的な説明に対し、市場が下方修正リスクを警戒して突きつけている「ノー」の証左といえそうです。


同社が不確実な「計画」の提示から脱し、具体的な「正式契約」をファクトとして市場に示せるようになるのか、今後の進ちょくを慎重に注視する必要があると考えます。


【データセクションの日足チャート】




日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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