今回解説していく通貨はユーロ円(EUR/JPY)です。現在は上昇トレンド内の調整局面にあり、調整の程度を見極める必要があります。特に175円台半ばのポイントを下抜けると、高市トレードによる上昇分を全て吐き出す格好となるため注意が必要です。
ファンダメンタルズでは欧州中央銀行(ECB)が年内に追加利上げを実施する可能性があるものの、政府・日銀による為替介入への警戒感も根強く、今後の円相場全般を巡る環境にも目を配っておきたいところです。
今後のユーロ円の相場焦点:ECBは10月理事会で追加利上げを実施する可能性も
まずはユーロ圏の現在の金融政策状況を確認していきます。
欧州中央銀行(ECB)は2024年6月に金融緩和を開始。2025年6月に政策金利を2.15%まで引き下げましたが、今年6月から金融引き締め局面へと移行しました。現在の政策金利は2.65%です。
●ECBが利上げを決めた9月の直近会合の声明文では
・インフレ率は長期にわたり2%を上回る見通し
・見通しは依然として不確実性が高く、インフレには上方リスク、経済成長には下方リスクがある
・理事会の金利決定は、経済・金融データの流入状況、基調インフレの動向、金融政策の伝達力を踏まえ、インフレ見通しとその周辺リスクの評価に基づいて行われる
などの見解が示されました。
声明文ではその他にも「理事会は特定の金利経路に事前コミットしていない」と言及され、事前に追加利上げを示唆することはないとしていますが、その後にECB当局者筋の話として「ECBは10月の追加利上げもあり得ると見込んでいる」との報道も伝わっています。
現時点で、金利先物市場での追加利上げ織り込み度は年内(10月および12月理事会)に計1回程度。今後のインフレデータなどを見極めながらさらに利上げ期待度が高まるか確認していく必要があるでしょう。
ユーロ円の週足分析:上昇トレンドラインの維持が焦点に
下図はユーロ円の週足チャートになります。

現在は2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)にあるようです。もっとも、現状はトレンド内の調整局面。チャート下部に追加した「DMI」で確認しても-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しており、トレンドの強さを示すADXも足もとで上昇基調に転じているため、今後も調整が続く可能性があるでしょう。当面は前述の上昇トレンドラインを維持できるかが焦点になります。
ユーロ円の日足分析:高市トレードの上昇分を全て吐き出す可能性
では、より短期の視点でユーロ円の方向性を確認していきます。下図はユーロ円の日足チャートです。

今後の調整余地に関してですが、注目すべきは2024年7月高値の175.43円付近(チャート上の黄色実線)でしょうか。過去のレジスタンス水準は上抜けると転じてサポートになる可能性がありますが、昨年10月6日には窓を空けて同水準を上抜けた経緯があります。
この日は、前日(日曜日)に実施された自民党総裁選で高市氏が勝利したことを受け、いわゆる「高市トレード」が開始された起点となります。つまり同水準を下抜けると高市トレードの上昇分を全て吐き出す格好となるため、テクニカル面のほかにファンダメンタルズ的な視点でもポイントとなりそうです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:協調介入時にはユーロ円の売りが出ることも
最後に今後1カ月間の主要な経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目は日・欧の金融政策。欧州中央銀行(ECB)は次回理事会でも追加利上げを実施する可能性があり、注意が必要となります。
また、日本絡みでは為替介入への警戒感が高まっています。7月末の日米協調介入の際には米国側が「ドル売り」ではなくユーロ売り・円買いを実施したこともあり、ユーロ円に大きな影響を及ぼす要素として覚えておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・10月2日 ユーロ圏 9月消費者物価指数(HICP、速報値)
・10月23日 日本 9月全国消費者物価指数(CPI)
・10月29日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)、金融政策決定理事会
・10月29-30日 日本 日銀金融政策決定会合



