オーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利を4.60%へ引き上げ、一時的に豪ドル買いが強まりました。しかし、ブロックRBA総裁の慎重な発言を受けて「豪利上げ打ち止め観測」が広がり、豪ドルは上昇から反落へ転じました。翌日発表の豪消費者物価指数(CPI)は前年比で加速したものの市場予想を下回り、当面の追加利上げ期待を後退させています。
豪利上げも豪ドル買い続かず、総裁会見で流れ反転
RBAは9月29日の定例理事会で、政策金利を4.35%から4.60%へ0.25%引き上げる決定を下しました。利上げは3会合ぶりで、政策金利は2011年11月以来の高水準となります。声明文では「インフレ率は依然として高すぎる」との認識が示され、必要に応じて追加利上げを行う姿勢も示されました。これを受けて直後の豪ドルは対米ドルで0.7029ドルと、前日来の下落幅を急速に縮小(図表参照)。豪ドル円も110.70円まで買い進まれました。

しかし、その後に実施されたブロックRBA総裁の記者会見で状況は一変。総裁はインフレ率が低下すれば追加利上げが不要となる可能性に言及し、理事会内で利上げと据え置きの双方を討議した事実を明らかにしました。「中立レンジの上限に近づいている」「インフレ率が低下すれば、追加利上げが不要となる可能性もある」との発言も伝わると、マーケット参加者の間で「豪利上げ打ち止め観測」が一気に広がりました。
これを受けて豪ドルは反落し、対米ドルで0.6966ドル、豪ドル円も109円後半まで押し戻されました。声明文のタカ派な文言よりも総裁会見の慎重姿勢が意識され、利上げ再開にもかかわらず豪ドルは上値を維持できない展開となりました。
CPI予想を下回り「豪利上げ打ち止め観測」後押し
翌30日、日本時間午前発表の8月豪CPIは、前年比+4.0%と、前月の+3.5%から伸びが加速しました。一方で前月比は+0.4%と市場予想の+0.5%を下回り、RBAが重視するコア指標(トリム平均)も前月比+0.2%と予想の+0.3%を下回る結果となりました。前年比の数値自体はRBAのインフレ目標レンジ(2-3%)を超えて高水準にありますが、やはり市場予想の+4.1%に届きませんでした。伸びが総じて予想を下回ったことが追加利上げの必要性を和らげ、「豪利上げ打ち止め観測」を後押ししました。
豪ドル/ドルは2カ月ぶりの低水準となる0.69ドル半ばまで下落しています。豪ドル円も108円台まで下押しています。利上げ再開後に豪ドルが上値を伸ばせない背景には、追加利上げ観測の後退とともに、4.60%の政策金利が今後どの程度維持されるのかを巡る不透明感があります。
今後は豪州の物価動向や労働市場に加え、エネルギー価格や地政学リスクが物価に与える影響も焦点となります。「豪利上げ打ち止め観測」が定着するのか、それとも追加利上げ期待が持ち直すのか。次回会合までに公表される主要指標が、豪ドル相場を左右する重要な材料となりそうです。



