フランスの財政不安が欧州債市場に波及し、「仏財政懸念」がユーロの重しとなっています。仏国債の売りが続く中、独仏の利回り格差は2011年以来の水準まで拡大し、ユーロは主要通貨に対して軟調に推移。財政赤字の削減方針を巡る発言を受けて一時的に懸念が和らぐ場面もありましたが、戻りは限定的で、マーケット参加者は欧州債売りと悪い金利上昇の行方を慎重に見極めています。
仏債売りが示す「仏財政懸念」の広がり
10月1日、フランス政府は2027年度予算案で540億ユーロ規模の歳出削減を掲げ、財政赤字の対GDP比率を縮小する方針を示しました。しかし、少数与党による議会運営の難しさから成立への道筋は不透明で、財政再建の実効性に関する疑念が拡大。こうした「仏財政懸念」を背景に仏10年債利回りは一時5%に迫り、独仏利回り格差は160bp近くまで拡大しました。
この金利上昇は景気改善を反映したいわゆる「良い金利上昇」と異なり、国債売りに伴う「悪い金利上昇」とされるものです。仏債の売りはイタリアやギリシャなど周辺国にも波及しつつあり、欧州債務問題への警戒が強まる構図。ユーロは軟調となり、ユーロドルは週明け5日には1.1160ドル台まで(図表参照)、ユーロ円も178円台から176円台まで売られました。
一方で米長期金利の上昇はドル買いを誘い、これもユーロの戻りを抑える要因となっていました。
仏債売り一服も、消えないユーロの下値リスク
その後、極右政党・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏が来年の仏大統領選挙をにらんで財政赤字のGDP比率を低下させる方針を表明。同方針が大統領選の争点になり、赤字を緩和する方向へ政策論争が傾くとの見方から、「仏財政懸念」が一時的に和らぐ場面がありました。
仏国債が買い戻され、ユーロドルは一時1.12ドル後半まで反発。しかし、この動きは急落後のポジション調整との見方が強く、上値の重さは解消していません。
仏予算案の成立は依然として不透明で、格付け会社によるフランスの信用格付け見直しリスクも意識されています。財政問題が再び国債売りにつながれば独仏利回り格差が再拡大し、ユーロの下押し圧力が強まる可能性があります。
さらに、スペインの政局不安や欧州中央銀行(ECB)高官の慎重なスタンスもユーロの重しとなり、追加利上げ期待は後退しています。7日の欧州勢の動きだしにかけて仏国債は再び売られ、東京タイム終盤にユーロドルは1.12ドル割れとなっています。
マーケット参加者が注視しているのは、フランスの財政再建が実際に進むかどうか、そして仏国債売りが欧州全体へ波及するかという点です。「仏財政懸念」が続く限り、ユーロは悪い金利上昇を嫌気して戻りの鈍い展開が続きやすいでしょう。



