米雇用統計後に乱高下
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年10月7日22時頃、対円では前週(7日前)比0.3%高の1325万円前後で取引されています。BTCドルが8万3600ドル台と、年初以来の下落率は4.5%弱まで狭めてきました。
BTC円は2日、1373万円台まで上昇後に1325万円台まで急落しました。9月米雇用統計が総じて弱かったことで米長期金利が低下し、金利の付かないBTCを後押ししました。しかしながら長期金利はあっさりと上昇し、BTCの重しとなります。BTCドルも8万7200ドル台を頭に8万4000ドル割れまで失速しました。

※Trading Viewより
過去最高値から1年
2025年10月6日に約12万6000ドルの史上最高値をつけてから、ちょうど1年が経ちました。途中の6月には一時6万ドルを割り込む場面もありましたが、現在は8万5000-8万7000ドル台まで回復しています。下落率は約32%。過去のサイクルでは1年後に70-80%以上下落していたことと比べると、今回の下落の浅さは際立ちます。
CoinDeskはその背景として、現物ETFを通じた機関投資家の継続的な資金流入、市場全体のレバレッジの低下、ボラティリティの低下という3つの構造変化を挙げています。ストラテジー社は今週も334BTCを追加購入し、保有量は84万8000BTCを超えました。ストライブ社も2000BTCを購入。世界5位の法人保有量です。「BTCを買い続ける企業」が増えたことで、市場に出回るBTCが減り、価格が下がりにくい構造が生まれています。

※Trading Viewより
au PAYで暗号資産
10月1日、KDDI・コインチェック・HashPort・auフィナンシャルサービスが、au PAYアプリ内で使えるノンカストディアル型の暗号資産ウォレット「αU wallet」の提供を開始しました。ユーザーはau PAYアプリのミニアプリとして、BTCのラップドトークン(WBTC)、イーサリアム(ETH)、日本円ステーブルコイン(JPYC)を保有・管理できます。
注目すべきは入り口の低さです。専用の暗号資産取引所を別途開設しなくても、Pontaポイントから暗号資産に交換できます(月300ポイントまで)。保有した暗号資産をau PAY残高に戻して、auの加盟店で使うこともできます。約3967万人のau PAY会員が潜在的なユーザーになりうるサービスで、「暗号資産は取引所で買うもの」という従来の導線とは明らかに違うアプローチです。第192回でお伝えした「持つから使うフェーズ」が、いよいよ現実のものになりつつあります。
訪日外国人も暗号資産で支払える
9月30日、PayPayはBinanceの決済機能「Binance Pay」と連携し、海外のBinance Payユーザーが全国のPayPay加盟店で暗号資産を使って支払えるようになりました。対象は100以上の国・地域の約4800万人のBinance Payユーザーで、飲食や土産、宿泊など幅広い場面で使えます。日本居住者・Binance Japanユーザーは対象外。訪日外国人向けの仕組みです。
特徴は、加盟店側が暗号資産をまったく意識しなくてよい点です。利用者が暗号資産で支払っても、PayPay加盟店の売上は日本円で入ります。「暗号資産を受け取る店を増やす」のではなく、「既存の決済ネットワークに暗号資産ユーザーをつなぐ」という発想の転換です。au PAYの「日本人向け」とBinance Payの「訪日外国人向け」が同時に動き出し、日本の決済現場で暗号資産が使われる機会が一気に広がりつつあります。
時代は変わる、日本市場の実態は?
10月6日、Startale Japanが個人投資家向けのデジタル社債「ステーブルコイン普及債」の募集を開始しました。1口10万円、年率5.00%、期間1年。元本と利息は、JPYC(日本円と1対1で連動するステーブルコイン)で支払われます。ステーブルコインを自ら選んで買うのではなく、社債という既存の金融商品を通じて自然に手元に届く新しい形です。暗号資産に詳しくない層にも、入り口が開かれつつあります。
日本の市場全体を見ても、個人の存在感は大きいようです。チェイナリシス(Chainalysis)が10月5日に発表した調査では、2025年7月から2026年6月の日本の暗号資産経済規模は2283億ドルで、東アジア2位と評価されています。
さらに注目されるのが市場の構造です。日本では暗号資産サービスへの資金流入のうち、DEX(分散型取引所)が占める割合が34.5%と東アジアで最高水準でした。日本のDEX取引の約65.7%は10-1000ドル規模の個人取引で、コインチェックなどの国内取引所からDeFiへ資金を移すユーザーも増えています。
ポイント交換、ステーブルコイン社債、DEX利用。日本の個人ユーザーが暗号資産と関わる形は、目立たないところで着実に広がっています。



