バイデン大統領の支持率、若者世代で最低
バイデン大統領の支持率は、インフレ率の上昇に比例して低下をたどります。キニピアック大学が6月3~8日に実施した世論調査では、バイデン氏の支持率は33%と1月、4月実施の結果と合わせ就任以来で最低に並びました。民主党間の支持率は79%、共和党では6%。中間選挙の命運を握る無党派層では25%でした。
年齢別では18~34歳が22%と最低となり、35~49歳でも31%程度です。
キニピアック大学の世論調査はバイデン政権に厳しい結果となる傾向があるために別の調査を拾ってみましたが、若年層のバイデン政権離れは本物のようです。
モーニング・コンサルトが6月4~6日に実施した世論調査では、18~34歳の支持率が41%と、バイデン政権発足直後から20%も低下したといいます。他の年齢層でも支持率は低下したものの、18~29歳は突出しています。18~34歳の不支持率も52%と、就任当時の24%から急伸していました。
それもそのはずで、2020年の米大統領選を振り返ると、18~29歳の投票率が50%と2016年の39%から上昇していましたよね?つまり、18~34歳の若年層がバイデン大統領誕生の一助を担っていたわけです。バイデン政権誕生に期待を寄せ投票所に駆け付けた若年層は、いまや選挙公約実現で後れを取るバイデン政権にしびれを切らし、支持を撤回しつつあるのですよ。一連の世論調査結果は、中間選挙を控えたバイデン政権と民主党にとって逆風となっているに違いありません。
ガソリン高が支持率低下の一因、政権発足時から63%も急伸
一因としては、やはり物価高が挙げられます。特にガソリン価格は、EIAのデータによれば6月13日週の時点で前年比63%も急伸。バイデン政権発足時点の21年1月の2.392ドルからは、約2倍の5.003ドルに至ります。
全米自動車協会(AAA)によれば、6月13日時点で全米50州とワシントンD.C.のうち、首都を含めた23州でガソリン平均価格は5ドルを突破していました。7月7日時点では10州に減ったとはいえ、それでも高止まりする状況は変わらず。ちなみに、全米ではガソリン販売価格が3ドル台だった2021年秋頃からこのようなステッカーがガソリン・スタンドで貼り付けられるようになり、アマゾンなどでも販売されています。
(写真:Tim Vrtiska/Flickr)
ガソリン高で、過去には与党に不利に働く
ガソリン価格と中間選挙結果には、ある程度の相関がみられます。
中間選挙まで5ヵ月前の6月時点で前年比2桁以上の上昇率を記録した過去の選挙結果を振り返ると、ブッシュ政権下の2006年中間選挙では、前年比でガソリン価格が37%上昇するなか与党共和党が大敗を喫し、上下院で多数派を民主党に奪回されました。トランプ政権下ではガソリン価格が18年6月時点で22%上昇し、与党共和党は辛うじて上院で多数派を維持したものの、下院で41議席失い野党に転じたものです。高インフレと経済低迷のスタグフレーションに喘いだカーター政権下では中間選挙で民主党が上下院共に多数派を保った半面、米大統領選で敗北を喫しました。
キニピアック大学の世論調査結果では、中間選挙が今日実施された場合、民主党と共和党のどちらが多数派を獲得するかとの質問で「共和党」が優勢だったものの、その差は4%程度でした。無党派層の間では「共和党」との回答が40%で、「民主党」との回答の差は2%に縮小します。
とはいえ、選挙情報サイトの270 To Winによれば、中間選挙では上院の改選議席数が33議席で共和党が20議席と多いながら、共和党が48議席、民主党47議席獲得する見通し(接戦5議席)。2年毎に全てが改選となる下院でも、共和党が214議席、民主党が193議席(接戦28議席)と、共和党が多数派に転じると予想されています。高止まりするガソリン高が与党に敗北をもたらすのか、その答えは11月8日の中間選挙で明らかになります。