【ローソク足の複数足分析~包み線】

複数足とは?

ローソク足から相場を観測する場合、最初は1 本の足からその強弱を読み、次に2 本以上の組み合わせによる複数足分析で、より精度の高い相場の勢力や方向性を探ることが望ましいといえます。


組み合わせ足にはそれぞれに「呼び名」がついています。今回は、その代表的な1つである「包み線」を説明します。


包み線の特徴

短い陰線の翌日、高値が前日高値を上回り、かつ安値が前日安値を下回る長い陽線となった場合、もしくは短い陽線の翌日、高値が前日高値を上回り、かつ安値が前日安値を下回る長い陰線となった場合を「包み線」といいます。「抱き線」とも呼ばれます。


前日の線は、必ずしも短い線である必要はないですが、短いほうが注目されます。当日の実体の長さは、前日の高値から安値までを包み込んでいることが望ましいですが、長い線である必要もありません。


基調転換の兆しを示唆する

前日と当日の陰陽が反転しているところがポイントです。前日小動きだった後、反対方向に大きく動くことから、基調転換の兆しとされています。特に高値圏や安値圏に現れた場合には、天井や底入れの可能性があるとして要注目でしょう。


例えば、前日まで株価が下落基調の中、下位に陰線を包み込む陽線が現れた場合は、「陽線包み足」として買い転換を暗示し、今後の株価上昇を示唆しています。図表1のように、陽線包み線の値動きを1本のローソク足にまとめると下ヒゲの長い陽線となり、相場の転機をより明確に読みとれます。


逆に、前日まで株価が上昇基調の中、上位に陽線を包み込む陰線が出れた場合は、「陰線包み足」として売り転換を暗示し、今後の株価下落を示唆しています。図表2のように、陰線包み線の値動きを1本のローソク足にまとめると長い上ヒゲの陰線となり、騰勢の衰えが明確に読みとれます。


図表3は、ソニー(6758)の日足チャートです。長短の見極めが難しい箇所もありますが、特にセリングクライマックスから反転するケースで、出やすいパターンでもあります。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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