昨年はドル買い・ドル売りで交錯
昨年の為替市場を振り返りますと、ドル円は1月10日に158.87円まで上昇した後、4月には139.89円まで下落しました。その後は持ち直し、年末にかけては157.78円近辺まで上昇して取引を終えています。
一昨年の年末水準が157.20円前後、昨年末も156円台後半であったことから、年間を通して相場を細かく追っていなかった向きにとっては、ほとんど動きのない一年であったようにも映るかもしれません。
しかしながら、その内容は非常に濃い一年であったと言えます。
ドル円が年初に弱含んだ背景には、第2次トランプ政権の発足がありました。
トランプ大統領がかねてよりドル高に対して懸念を示していたことから、市場では「第2次プラザ合意」が実現するのではないかとの警戒感が高まり、ドル売りが進む局面となりました。
もっとも、ドル安局面は長続きしませんでした。
その後、日本で高市政権が発足すると、財政拡大路線による放漫財政への懸念が意識され、再び円売りが強まる展開となりました。
1年を通したら何が利益を得ることができたのか?
昨年1月2日に円から外貨に換えて、昨年12月31日までで一番リターンが多かった通貨は下記のようになります。
(ここでは主にFX会社で取引されている通貨を元にしています)
1…スウェーデンクローナ 20.50%
2…スイスフラン 14.52%
3…ユーロ 13.85%
4…メキシコペソ 13.84%
5…デンマーククローネ 13.69%
6…南アランド 12.63%
7…ノルウェークローネ 2.41%
8…英ポンド 8.30%
9…豪ドル 7.04
10…カナダドル 4.42%
11…NZドル 2.40%
12…米ドル ▲0.50%
13…トルコリラ ▲18.12%
となっています。
ちなみに2024年は下記のようになっています。
1…米ドル 10.49%
2…英ポンド 9.81%
3…南アランド 9.11%
4…ユーロ 5.00%
5…デンマーククローネ 4.95%
6…スイスフラン 3.98%
7…カナダドル 2.48%
8…スウェーデンクローナ 2.14%
9…オーストラリアドル 1.53%
10…ノルウェークローネ 0.85%
11…NZドル ▲0.43%
12…トルコリラ ▲8.93%
13…メキシコペソ ▲12.08%
このような結果を踏まえますと、対ドル相場に限って見た場合、2024年までは円安が進行したと言えるものの、2025年に入ってからは必ずしも円安が進んでいるとは言えません。
ただし、高市氏が自民党総裁選で勝利を収めた局面以降に限って見ると、円は対ドルで6%以上下落しており、高市政権の財政政策が円安を招いたと評価することは可能でしょう。
一方で、ユーロなどの欧州通貨に対しては、円安が大幅に進行した一年であったと言えます。

金利のつかない通貨は売られる
上述のリターンは為替のみのリターンですが、通常通貨を持つと金利(スワップポイント)が付きます。
この金利を含めた通貨順位は
1…メキシコペソ 23.98%
2...スウェーデンクローナ 23.03%
3...トルコリラ 22.67%
4…南アランド 21.04%
5…ノルウェークローネ 17.33%
6…ユーロ 16.40%
7…デンマーククローネ 15.86%
8…スイスフラン 14.62%
9…英ポンド 13.02%
10…オーストラリアドル 11.32%
11…カナダドル 7.18%
12…NZドル 5.68%
13…米ドル 3.86%
となります。
為替動向だけを見ますと、大幅な下落が続いていたトルコリラでさえ、円ベースで年初に購入していれば約22%のリターンを得られた計算になります。
これは、トルコの政策金利が38%と極めて高水準にあるためであり、政策金利が1%にも満たない円に魅力が乏しいのは、ある意味で避けられない状況と言えるでしょう。
2026年に向けては、日本銀行が政策金利を引き上げる方向に進む可能性が見込まれますが、他国と比較すると依然として金利差は明確に存在しています。
加えて、日本の実質賃金は低下傾向が続いており、内需面での不安も拭えません。
こうした環境を踏まえると、今年も引き続き「円売り・外貨買い」という投資スタンスが有効となる一年になるのか、市場の注目が集まります。



