2022年までの冬は温度の寒さに加え、コロナ禍による停滞感が根強くありました。まもなく外は暖かくなり、春が到来します。気分的にも高揚する暖かさのなか、2023年は1つのニュースが懸念されています。過去10年間で最大の花粉量が日本を襲うようです。
今や花粉症は日本の国民病ともいわれます。症状を抑える薬がドラッグストアに並ぶようになりましたが、根本から解決する予防薬はまだ浸透していません。花粉症が懸念になっての外出自粛や気持ちの落ち込みは、とても春の風物詩と言っていられないものです。
筆者は(スギ花粉のない)北海道出身のため(2023年で東京在住14年目です)、花粉症の自覚はありませんが、周囲を見ていると大変だなと思うことが本当に多いです。数年におよぶコロナで停滞した経済活動からの脱却を期待されている観光業界や飲食業界にとっては、花粉症がコロナに変わる外出停滞リスクとなることが危惧されています。
花粉症が人々の経済活動復活の阻害要因となるか
ここ数年自由に活動できる春が続いていて、今年は特異な齢と例年比で2023年の花粉症が例年比数倍となれば、今回の予測は十分な活動阻害要因になるでしょう。今年の桜は自粛しようか、例年遠出していた春の旅行は近場にしようかという動きになることが想定できます。2023年はコロナ禍明けの春です。コロナ禍による開放的な行動変容と、例年よりも懸念される花粉症は、果たしてどちらが上回るでしょうか。
我々が例年何事もなく享受してきた春は、今年は3年振りの春です(某演歌のようですが)。2020年に兆しがあり、翌2021年には買い物に行くのも憚れるような自粛は2022年も規模を縮小して続きました。約3年ぶりの開放となる2023年は感染症の5類移行が5月に予定されると決まったあたりから、少しずつ湧き上がってきたように感じられます。3月末からの春旅行が、タイミングとしてはひとつの試金石になるでしょうか。
マスク着用自由化と花粉症のタイミング
厚生労働省は2023年3月13日より、マスクの着用を「個人の状態が基本」に変更します。これまで屋外は不要、屋内は必要という定義だっため、屋内や混雑していない交通機関などではマスク着用が義務では無くなります。
コロナ禍以前に回帰する大きな変化です。感染症法上の移行と合わせ、コロナ禍の段階的終焉を数えるタイミングでの花粉症流行宣言は、僅かながらでもタイミングの外れを期待したいところです。
投資家は2023年の花粉症の終焉を予想すべき
考え方によっては、コロナ禍の終焉とともに到来すると考えられている経済活動の自由化開始がもう少し伸び、花粉飛散の落ち着く5月明けになると予測できるでしょう。
3月に開放的な気分になり伸びる銘柄と、5月に伸びる銘柄は異なります。コロナ禍が終わり、外に飛び出したい気持ちでスタートダッシュ駆けようとしていたところに更に2カ月ほど「待て」がかかり、いよいよ開放の時を迎える。現在の株の割安感をPER(株価収益率)などで見ながら、買い増しのタイミングを計っていきましょう。
また5月の先に見える梅雨や初夏の市場予測を見据えるのも1つの長期視点です。夏のオリンピックのような大きなイベントは予定されていませんが、心理的な解放感という意味では例年にない動きが期待できるでしょう。
ビールメーカーや海外旅行が狙い目か
さて、コロナ禍および花粉症明けに動くと予想される具体的な銘柄としては何でしょうか。筆者は全国的に暖かくなる時期のため、ビールなどアルコール飲料メーカー等が狙い目ではないかと考えています。
家族や友人とお酒を飲む習慣、特に集団で気の置けない場を共有する時間は、この数年間で何度も敬遠されました。そのあいだに各社はノンアルコール飲料などに注力し、少しずつ浸透してきた印象を持ちます。アルコール一択ではなく、多角的な提供アイテムが広く注目されると読んでいます。
また旅行熱は回復してきているものの、国境を超えた海外旅行となると抵抗感が強まり、市場復活に長い時間がかかっています。この自粛感もマスクの自由化により改善方向に進むでしょう。
メディアにおける海外旅行の特集などは2022年後半あたりから復活傾向にあるため、韓国や台湾、ハワイなどの比較的気軽な観光地は回帰が期待できるかもしれません。長いコロナ禍から持ち直した生活の復帰途中の一休みという意味では、LCC(格安航空)や高速バスといった移動手段も良い着眼点かもしれません。
花粉症の流行によっては当初の期待から時期は遅れますが、解放感に満ちた春が2023年に到来するのは間違いないでしょう。経済活動の活性化に期待する市民としても、投資家としても待ちわびています。ともすれば懸念されるカントリーリスクなどで、再度その高揚感が間延びしないように祈念するところです。