中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株に投資する際、企業の業績や市場での評価を理解することは、成功するために欠かせません。特に、中国市場の変動性を考慮すると、企業の収益性や成長性、安定性をしっかり評価することが非常に重要です。今回は「中国株二季報」に掲載されている5段階評価を活用し、どのように名柄選定を行うかについて解説します。これらの評価指標を元に、投資判断をより正確に行い、リスクを最小限に抑える方法を学びましょう。
出所:中国株二季報2025年夏秋号
5段階評価を使った中国株の企業分析
中国株を選定する際には、企業の基本的な指標をもとに評価することが重要です。「中国株二季報」では、「収益性」「成長性」「安定性」「株価」「配当」という5つの重要な項目について、それぞれの指標に基づいて1から5までのスコアをつけ、最終的な評価を行っています。この評価方法は、企業をひと目で理解し、企業を選ぶ際の最初の取っ掛かりに適しています。まずは5つの項目と対応する指標について解説していきます。
出所:中国株二季報2025年夏秋号
1 収益性(ROE)
収益性は、企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す重要な指標です。特にROE(自己資本利益率)が高い企業は、少ない資本で多くの利益を得ていることを意味します。投資家にとって、ROEが高い企業は効率的に利益を上げている企業ということなるため、魅力的な投資先といえるでしょう。
2 成長性(予想増益率)
成長性は、企業が今後どれだけ成長する可能性があるかを示す指標です。特に予想増益率が高い企業は、将来の業績拡大が期待されるため、成長株として注目を浴びることが多いといえます。将来的な利益拡大を見込んで、短期的な株価の上昇を狙いたい投資家にとっては、成長性の高い企業は理想的な選択肢となります。
3 安定性(自己資本比率)
安定性を示す指標である自己資本比率は、企業がどれだけ健全な財務基盤を持っているかを測るものです。自己資本比率が高い企業は、財務的に安定しており、金融機関からの信用が高いといえます。特に景気が不安定な時期においては、安定性の高い企業に投資することがリスクを回避するための重要な戦略となります。
4 株価(予想PER)
株価の割安さを測る指標としては予想PER(株価収益率)が重要です。PERが低い企業は、相対的に割安とされ、将来の成長が見込まれる場合に投資家にとって魅力的な選択肢となります。しかし、PERが低すぎる場合、企業の業績に問題がある可能性もあるため、他の指標と合わせて判断することが重要です。
5 配当(予想配当利回り)
配当利回りは、企業がどれだけ安定して株主還元を行っているかを示します。特に安定した配当を支払っている企業は収益も安定しており、株主還元に積極的と評価されます。また利回りが高い場合は株価が割安と判断されることがあり、投資判断の材料になります。投資家にとっては、安定した収益を得るための重要な指標となり、長期投資を行う上で重要な要素です。
5段階評価による中国株の選定方法
「中国株二季報」では、これらの各項目を代表する指標につき、掲載銘柄の平均値を基準に1-5点を付与し、合計点に応じて各銘柄を「A」から「E」まで機械的に5段階で評価(Aが最高)しています。高いスコアを獲得する企業は、総合的に判断して、業績がよく、財務が安定し、高いリターンが期待できる可能性の高い銘柄といえます。ここで、評価結果をどのように活用するかが重要です。
A評価を得た企業は、収益性や成長性が高く、安定性もある銘柄なので、総合的に見て高い投資リターンが得られる可能性のある銘柄といえます。投資する銘柄を探す段階で手掛かりが欲しい場合は、最初にこのA評価銘柄に着目するといいでしょう。ただし、スコアが25点満点ということは通常ありませんので、同じA評価でも「収益性が特に高い」とか「割安さが際立っている」など、銘柄ごとにそれぞれに特徴があります。成長性の高い銘柄を選んでキャピタルゲインを狙うのか、それとも安定性を重視してインカムゲインを積み重ねていくのか、どの指標を重視するかは人それぞれ違ってくると思いますので、各項目を確認して自分に合った銘柄を選ぶようにしましょう。
なお、「中国株二季報」の巻末【スクリーニング】総合評価のページでは、高評価の銘柄について、項目ごとのスコアを記載していますので、ぜひ合わせて確認してみてください。
出所:中国株二季報2025年夏秋号
結論
「中国株二季報」の5段階評価を活用することで、企業の評価を簡単に行い、投資判断を行うことができます。収益性、成長性、安定性、株価、配当という5つの指標をもとに、各企業の評価を行い、最適な投資先を選定しましょう。評価結果をもとに、自分の投資戦略に合った企業を見つけ、リスクを抑えつつ、長期的なリターンを狙うことができます。