複数足とは?
ローソク足から相場を観測する場合、最初は1本の足からその強弱を読み、次に2 本以上の組み合わせによる複数足分析で、より精度の高い相場の勢力や方向性を探ることが望ましいといえます。
組み合わせ足にはそれぞれに「呼び名」がついています。今回は、前回までの「包み線」「はらみ線(足)」「切り込み線」「かぶせ線」に続いて、「あて首線」、「入り首線」、「差し込み線」を説明します。
2本線の出合い
前日の終値と当日の終値が収束して、出合う2本のローソク足の上下関係や2本のローソク足が重なる部分の割合などによって、「あて首線」、「入り首線」、「差し込み線」などの名前が付けられています。
出合う2本のローソク足の始値・高値・安値・終値を合成して1本のローソク足にすると、下ヒゲのある陰線となります。
<あて首線>
大陰線が出現した翌日、大きく下放れて始まったものの戻して小陽線となり、前日の大陰線の安値まで届いていないものの、その近くまで戻して終わった足を「あて首線」といいます(図1)。
陽線で下げ渋ったようにみえますが、反発力に欠けた形で戻り売り狙いとなるパターンです。この2本のローソク足を1本の単線に書き直してみると、下ヒゲの短い陰線となり、弱気を示唆します。
図2は、東京電力ホールディングス(9501)の日足チャートです。高値からの下落過程に出現した「あて首線」で下げ渋る場面がありますが、まもなく底割れとなり、下値模索につながっています。
<入り首線>
大陰線が出現した翌日、大きく下放れて始まったものの戻して陽線となり、前日の大陰線の安値を若干上回って終わった足を「入り首線」といいます(図3)。あて首線によく似ています。
これも陽線で下げ渋ったようにみえますが、反発力に欠けた形で戻り売り狙いとなるパターンです。この2本のローソク足を1本の単線に書き直してみると、下ヒゲのある陰線となり、弱気を示唆します。
図4は、レーザーテック(6920)の日足チャートです。高値圏に出現した大陰線の翌日、陽線となり「入り首線」を出現しました。大陰線の終値付近までの戻りにとどまっており、戻り売りのポイントになったことがわかります。下値模索の過程でも「入り首線」が出現しているのが確認できます。
<差し込み線>
大陰線が出現した翌日、大きく下放れて始まったものの戻して陽線となり、前日の大陰線の実体の中心値近くまで戻して終わった足を「差し込み線」といいます(図表5)。入り首線に似ていますが、当日の陽線が長いのが特徴です。
陽線の実体が大きく下げ渋ったようにみえますが、反発力に限界があり、やはり戻り売り狙いとなるパターンです。この2本のローソク足を1本の単線に書き直してみると、下ヒゲの比較的長い陰線となり、弱気を示唆します。
一方、当日の終値が前日の大陰線の実体の中心値を上回って終えた足を「切り込み線」といい、相場の下位で出現した場合は買い転換を暗示します。
切り込み線と差し込み線は、それほど大きな違いはありません。前日の大陰線の実体の中心値より上で終わったか、下で終わったかの違いです。それゆえに、相場の下位で差し込み線が出現した場合は買い転換となるケースもあるでしょう。
図6は、日立製作所(6501)の日足チャートです。下降トレンド中段あたりで「差し込み足」が出現しましたが、下げ止まらずに下値模索となりました。最終的には「切り込み線」が買い転換を暗示していたことになります。